出版社内容情報
内容説明
「俺は、お前を辞めさすつもりはない」入門して2年が過ぎたある日、師匠・笑福亭鶴瓶に言った「弟子を辞めたい」。師匠から返ってきたのはこの言葉だった。30年の歳月が流れ、2020年2月22日、大阪松竹座の高座には、あの日の思いと言葉を重ねた『百年目』をトリで演じる笑福亭銀瓶の姿があった。弟子入り志願、弟子修業、年季明け、韓国で落語をする、舞台やドラマへの出演…、挑戦するたびに落語が変わる。師匠からかけられた言葉が心に刺さる。
目次
お前を辞めさすつもりはない
幼少期
小学生時代
中学生時代
高専時代
悩み~入門
修業スタート
独り立ち
変化
韓国語落語
舞台『焼肉ドラゴン』
覚悟と挑戦
著者等紹介
笑福亭銀瓶[ショウフクテイギンペイ]
1967年10月15日生まれ、兵庫県神戸市出身。1988年3月28日、笑福亭鶴瓶に入門。2005年から韓国語による落語も手がけ、韓国各地で公演を継続。2008年、繁昌亭奨励賞受賞。2009年、繁昌亭大賞受賞。2017年、文化庁芸術祭優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きみたけ
47
著者は、笑福亭鶴瓶に弟子入り後、文化庁芸術祭優秀賞受賞、NHK朝ドラ「あさが来た」「まんぷく」にも出演するなど役者としても活躍中の落語家笑福亭銀瓶氏。東京・大阪をまたにかけて活躍する落語家の半生を綴った400頁をこえる自叙伝。在日コリアン3世の出自、弟子入り志願、内弟子修業、年季明けなど、自身のことはもちろん、師匠夫婦とのトラブルまで赤裸々に語っています。また師匠鶴瓶さんの落語へのひたむきさも感じました。たまたま手にした本でしたが、笑福亭銀瓶という人に興味が湧きましたので一度彼の落語を聴いてみたいです。2024/06/24
gtn
21
師匠夫妻を不快にさせているのではという自責の念から、辞めたいという著者。辞めさせるつもりはないと答える師匠。師に恩返しすると腹が決まり、師の何気ない一言や、自分のルーツと向き合い、昇華させていく。「師弟は三世」との言葉どおり、その縁は峻厳であり、師の慈愛は肉親をも超えることを、自らの姿を曝け出すことによって、読み手に懸命に伝えようとする。2022/08/01
funkypunkyempty
6
★★★★☆ 読み始めたら一気読み。銀瓶師匠の人生にガバッと飲み込まれていく感じがした。師匠鶴瓶との実際のやりとりを落語の「百年目」にスッと入れていく最後がグッときた。そして人間国宝米朝とのやりとりも最高!2021/04/21
マツさん
2
銀瓶師の寄席会場にて購入。芸に対する姿勢や人付き合いを大切にされる方なればこそいろいろなことを乗り越えることができて今日の師があるのだとよく理解できる自叙伝。噺家さんの師弟の繋がりの深さは、厳しさもだいぶあろうが、現代の希薄な社会においてうらやましいぬくもりに思える。2021/08/16
やっさん
1
買ってからしばらく忘れていたが、ようやく手に取った。著者のことは知らない。たまたま読んでいた本に挟まっていた新刊案内に載っていて、興味がわいたので買ってみた。冒頭は在日コリアンの話しなので、少し重いのかなと思っていたら、だんだんと落語家になっていく著者の半生が面白くなってきた。いろんな落語が出てくるが、あまり詳しくないので一席だけYouTubeで聞いてみた。しかも著者のではなく。なんとなくその話しの流れがわかった。 著者のこの自叙伝を読んで、自分の人生を振り返って、ちょっと背筋が伸びる思いがしました。2022/04/27