出版社内容情報
近年ブームの写実絵画。高橋由一、岸田劉生から現代作家まで、作品と言葉で日本の写実絵画の流れを追う。
土方明司[ヒジカタメイジ]
平塚美術館館長代理
江尻潔[エジリキヨシ]
足利市立美術館学芸員
内容説明
迫真に、物狂いに、もうひとつの日本洋画史。
目次
第1章 写実の導入(明治黎明)
第2章 写実の導入(明治中期以降)
第3章 写実の展開(大正)―劉生と草土社、その地方への伝播
第4章 昭和(戦前・戦後)
第5章 現代の写実(私にとってリアルとは)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
82
企画展のテーマ”移入されてから百五十年を経た写実表現がどのように変化し、また変化しなかったのか、日本独自の写実が生まれたのか否か、を作品により検証します”が興味をそそる。企画展に展示された絵をもう一度観る楽しみもさることながら、本書に綴られた画家の言葉に圧倒されます。いずれも執念を感じさせる言葉ばかり。絵を描くことに、写実に心を囚われたものぐるひたち、彼らや、彼らの後継は大きな芸術の渦の中でどう裁かれていくのか。「写実」をどのようにとらえようと、これからも宇宙人が描いたような絵は生まれ続ける。 2017/09/24
マエダ
72
少し目を背けたくなる感性もあるが次に次にと読んでしまう。2017/07/06
あこ
15
各時代の「物狂い」を中心に作家と作品を選んだとのこと。作品を通観することで、明治の本格的な導入から約150年経った日本の写実を知ることができる。それぞれの作家の写実絵画に辿り着くまでの経緯やどんな想いで写実絵画を描いているかも知れる。現代の作品も好きなのだが、不思議と昔の作品に私は心が動かされた。五姓田義松、原田直次郎、石川虎治「浜辺に立つ少女たち」、高島野十郎「蝋燭」、高橋由一、野田弘志「パンジー其の参」「骨I」、河野通紀「淋しい水」、犬塚勉、吉村芳生の描く植物、水野暁の浅間山など。2018/11/17
ネスミス
4
写実主義ってなんだろう。絵があると、時代の変化が分かりやすい上、時々書いてある説明も読みやすい。徐々に写真を超え始める絵が増え始めてくるのが画家の矜持を感じる。特に犬塚勉の絵が一番良かった。2018/06/14
ひろ
4
写実ではなく「写意」。精神性が乏しいと、写実画としての魅力も精神性も乏しい。…と、言葉で語るのは簡単だが、では、どこで観者は精神性を読み取れるのか?作品が写実画としていれば誰が観ても「写意」を汲み取ることは出来るのか?画家や批評家が小難しく語ったところで、観者と画家との間に意志疎通はあるのか?それぞれ感じる所はちがうのでは?と毎回考えてしまう。答えのない答えを探すのは難しい。2017/04/19