内容説明
ブルーな気持ちを吐き出すだけでなく、人を愛する幸せに満ち、ユーモアとウィットで笑顔を生み、性生活もあけすけに、たくましく生きる人々の姿を映したブルースの歌詞―マディ・ウォーターズ、ロバート・ジョンスン、B・B・キングほかブルースを代表するシンガーが歌った35の名曲を通して奥深いブルースの世界をご案内します。
目次
1 うちの台所へお入り(Blues Singer’s Love Songs)
2 おれは大都会のプレイボーイ(Boasting Man And Talking Back Woman)
3 落ち目になったらだれも(Lonesome and Blue)
4 ケイティ・メイのような女(Love Makes You Happy,Love Makes You Blue)
5 土曜の夜と日曜の朝と(Saturday Night’s Fun And Sunday Morning Prayer)
6 そのうちクーンが月に(Blues Singer’s Life Story)
著者等紹介
中河伸俊[ナカガワノブトシ]
1951年東京都生まれ。大阪府立大学および関西大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
48
待ちに待っていた書を一気に読了。元々は20年ほど前から「ブルース&ソウル・レコーズ」誌に書いていたブルースを主としたブラック・ミュージックの訳詞と解説をまとめるものだったそうだが、著作者の許諾(原詞の引用より訳詞の方がシビアだそうだ)が得られないものもあって、ほぼ書き下ろしといっていい内容に。滞米経験があり、社会学が専門の著者らしく、歌の背景、言葉の多様な解釈、そして楽曲への愛情がにじみ出た、素晴らしい著作だ。取り上げられた曲は有名曲が多いので、ブルースがお好きな方、是非本書を手元に楽曲を聴いて欲しい。2021/09/01
gachi_folk
8
読了してブルースはやはり生活に根付いているなと再確認する。 日常のちょっとした出来事、 今日はずっと雨が降っているとか、 あの子がどっかに行っちまったとか。 ジョニー・テイラーやハウリン・ウルフの詩を読んでなんとも心地よい気分になる。 酒がすすむ。極上のつまみとなる一冊だった。2022/05/03
k.m.joe
4
こういう世界だからこそ、新たな喜びを呼び起こすような「切り口」は難しい。だが、この本は見事な切り口で展開するだけでなく、読む者の心を切り開くような痛快さがある。そもそも、私もそうだが、ブルースの歌詞は多くの人がその意味合いを掴み切れず悶々としている。たとえ英語が理解できるとしても、ブルースの場合、詩情だけでなく、ネイティブな言葉遣いやダブル・ミーニング、さらに背景となる時代や黒人文化に精通しなければ真の理解には至らない。2022/04/24