出版社内容情報
セレステ・イング[セレステ・イング]
著・文・その他
田栗美奈子[タグリ ミナコ]
翻訳
内容説明
もっと話せばよかった…。時代を超えて読みたい家族の物語。
著者等紹介
イング,セレステ[イング,セレステ] [Ng,Celeste]
1980年ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれ、10歳からオハイオ州シェイカー・ハイツにて、科学者の両親のもとで育つ。ハーバード大学を卒業し、ミシガン大学の創作科でMFA(Master of Fine Arts)を取得。在学中に書いた短編小説でホップウッド賞を受賞。『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』をはじめ多くの雑誌や新聞に小説やエッセイを発表し、プッシュカート賞、グッゲンハイム・フェロー(奨励金)を受賞。初めての長編小説である本書はベストセラーとなり、多くの媒体で2014年のブックオブザイヤーに輝いたほか、マサチューセッツ・ブック賞、アジア/パシフィック・アメリカ文学賞、全米図書館協会のアレックス賞を受賞し、30を超える言語に翻訳されている
田栗美奈子[タグリミナコ]
翻訳家。お茶の水女子大学英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
59
読み始め【生き辛さ、自分が歩きたい路の模索、異民族間結婚の難点、女にとっての結婚・家庭とは】に焦点が絞られて行く展開がひりつき、共感は少ないまま わが身に擦過傷が増え痛みに呻吟して行った。原題「わたしがあなたに語らなかったことのすべて」じゃ 語ったからどうなった?口を離れたナイフが相手の心に刺さり そこから化膿して行った案件は数知れぬ。人は其々、最後は一人。自分がこうだからと言え、相手は受けとめうる立場が常にセッティングされているとは限らない。昨今、巷間 よく言われる「重い母」~子供等への言葉と態度の虐待2022/12/24
ヘラジカ
57
あらすじすら読まず事前情報なしの状態で臨んだが、極めてシンプルな冒頭のアクシデントにここまで重厚感ある社会問題、人間模様が積み重なっていくとは思いもしなかった。この「秘密」は重過ぎる。今見ると書籍の内容紹介はかなり踏み込んでいるので読まなくて正解。真相が明らかになりつつある中盤から、読むごとに苦しくなっていくのに読まずにはいられなかった。成程、これはすごい家族小説だ。ラストは圧巻ですらある。読んでいて息が詰まりそうになるのに、最後にはもう一度最初から読みたくなっていた。傑作。2022/10/18
天の川
48
重かった…。1977年、アメリカの片田舎の大学教授の家庭の話は16歳の娘の行方不明(湖で水死)から始まる。不法入国中国人家庭出身の父、南部出身で医学生だった白人の母、3人の子ども。アジア人蔑視、祝福されなかった結婚、妊娠によって諦めた医師になる夢。すべての期待は長女に。母の期待のあまりの重さ。父が受けた蔑視が子ども達の世代でなくなるはずもなく。それぞれが思いを呑み込んで保たれてきた危うい平穏は、小さなきっかけで崩れる。この家族が呑み込んできた秘密は今の社会でも往々にしてあると。萩原美里さんの装丁が好き。2024/12/10
星落秋風五丈原
37
妹のハンナは家族から相手にされず、常に部屋の隅や机の下に隠れている。実は彼女を妊娠した事が夢を諦める原因になっているためマリリンにとっては複雑な存在なのだが、これもハンナには自分が疎まれる理由がわからない。長男と次女は理由がわからないままに疎まれ一方長女は理由がわからないままに両者から過大な期待を寄せられる。長女は母親の家出を自分の行動と結びつけ「自分がいい子にしていれば母親は出ていかない」と思い込んでしまう。いわゆる自縄自縛である。両親が一度も真正面から見たことがなく子供たちもそれぞれの秘密を話さない。2022/11/13
愛玉子
35
ミステリのような冒頭から引き込まれる。薄々気づいていた、全く知らなかった、知っていたけど見ないふりをしていた、密やかに胸に秘められていた、たくさんの秘密。それぞれの視点から語られる過去が、壊れゆく家族の姿を少しずつ明らかにしていく。自らが受けた傷を癒せなかった子どもが、やがて自分の子に傷を負わせることになる、それと知らずに、気づくことすら出来ずに。読むのが苦しく、この先どうなるかもわかっているのに先を読まずにはいられない。取り返しのつかないことと、その先にあるもの。苦しいけど読んで良かった、と思える作品。2023/10/15
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