内容説明
アウシュヴィッツを生き延びた6歳と4歳の小さな姉妹が見た戦争が家族にもたらす悲劇の物語。
目次
私たち姉妹のファミリーヒストリー
人種法、そしてアウシュヴィッツへ
アウシュヴィッツ―死があたりまえの日常
帰国への長い道のり
帰国、家族が一緒になる
アウシュヴィッツの真実を話し始める
著者等紹介
ブッチ,タチアナ[ブッチ,タチアナ] [Bucci,Tatiana]
1937年9月19日生まれ。現在ベルギー・ブリュッセル在住。イタリア系ユダヤ人。アウシュヴィッツの最も若い子どもの生存者のひとり。アウシュヴィッツでの体験を綴った回想録の著者
ブッチ,アンドラ[ブッチ,アンドラ] [Bucci,Andra]
1939年7月1日生まれ。現在アメリカ合衆国・カリフォルニア州在住。イタリア系ユダヤ人。アウシュヴィッツの最も若い子どもの生存者のひとり。アウシュヴィッツでの体験を綴った回想録の著者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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(C17H26O4)
90
アウシュヴィッツの数少ない子供の生存者であった姉妹の証言。実話。ビルケナウの体験のことばかりでなく、彼女たちの家族のこと、彼女たちが体験を語ったり書いたりできるようになるまでの苦しみや、前を見て過ごせるようになるまでの経緯なども平易な言葉で丁寧に書かれている。地図や図や表、写真なども多く用いられ、伝えたい、伝えねば、という思いを強く感じた。若い読者向けだが広く読まれるべき本だと思う。2022/03/05
キムチ27
58
非常に読み易く、中高生でも手に取れそう。ユダヤ人を祖に持つ2人姉妹。収容当時は6歳と4歳。家族は迫害を逃れ ソ連からハンガリーを経、現クロアチア領リエカで生まれ育つ。絶滅収容所アウシュヴィッツに入れられ、奇跡の連続する運命により 現代迄生き延び、実母とも再会できた。が親族14人中、存命だったのは4人。黙してきた時間の封印を開け 語った貴重な証言数。子供の目線で見聞きの状況を語っている。やがて地上から消えるであろう「収容所生活経験者の生き残り」の次なる世代への とてつもない架け橋になりうるといえる。2022/06/17
つちのこ
36
アウシュヴィッツに移送された21万6千人の子どものうち、解放時の生存者は451人。そのうちのイタリア系ユダヤ人の姉妹が本書の著者である。収容所での体験を6才と4才の2人がどこまで記憶しているのだろうかという一点に関心をもって読み進めたが、当時の状況を等身大にリアルに書いていることに驚いた。中でも、ピラミッドと呼んだ死体の山の周りで遊んだという記述は、子ども目線ならではの驚愕の記憶である。解放から50年目にして、姉妹はアウシュヴィッツの真実を人前で語り始めるが、印象に残ったのは、ホロコーストは⇒2023/07/06
ブルちゃん
36
幼い子供は労働力がない為、人体実験に使えそうな子供以外は殺されてしまう。絶望的な生存率。そんな中、母の強い思いや、ブロコーヴァの助言により奇跡的に生き残った幼い姉妹の記憶。後に分かる、いとこのセルジオと19人の子供たちの運命(と表していいのか分からない)には、信じられない思いだ。語り継いでいこうとするその姿勢に頭が下がる。とても心に残った。2022/02/23
昼夜
23
これはブッチ一家のファミリーヒストリーとして書かれているけれど人間として忘れてはいけない、また起こしてはいけない歴史として一人一人が胸に刻むものだと、いろいろな分断で揺れる国内外の政治やヘイトクライムなどのファシズムの種になりそうなものが増えてきて改めて思いました。2022/01/03