内容説明
『活きる』『血を売る男』『兄弟』に連なる名作の原点!
著者等紹介
余華[ユイホア]
1960年中国浙江省杭州生まれ。両親の職場の病院内で、人の死を身近に感じながら育つ。幼少期に文化大革命を経験。89年には文学創作を学んでいた北京で天安門事件に遭遇した。80年代中頃から実験的手法による「先鋒派」作家の一人として注目を浴び、中短篇集をいくつか発表したのち、91年、『雨に呼ぶ声』で長篇デビュー。92年発表の『活きる』が張芸謀監督により映画化され話題を呼ぶ。『血を売る男』『兄弟』『死者たちの七日間』など、次々とベストセラーを発表し、中国を代表する作家となる。98年にグランザネ・カブール賞(イタリア)、04年にフランス芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受章。作品は全世界で2000万部以上、40以上の言語に翻訳されており、ノーベル文学賞候補の呼び声も高い
飯塚容[イイズカユトリ]
1954年生まれ。中央大学文学部教授。専門は中国近現代文学および演劇。訳書多数。2011年に中華図書特殊貢献賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のりすけたろう
31
初めての余華でした。中国文学は、過酷で辛いっていう感じの作品ばかり読んでいるみたいで、今回もどよーん(´;Д;`)となりました。余華の他の作品も読んでみたいです。次は兄弟かな?✨2021/04/07
安土留之
5
7歳で養子に出され、5年後、養父が死に出生した家に戻った少年の回想記。余華の最初の長編小説で、貧しかった時代、1950年代から60年代の中国を生きる家族の物語。 記憶の断片が語られ、話が飛び、幻想的な雰囲気の小説だが、読みにくくはない。人間には単純な悪人も善人もいない、善と悪、喜劇と悲劇が混在しているというのが余華の人間観で、私が余華に惹かれる理由なのだが、本書にもこの人間観が反映している。 余華のファンとしては面白かったが、余華の小説を初めて読む人には、傑作『兄弟』のほうがおすすめですね。2020/11/30
にやり2世
4
自分と父と祖父の人生が時系列があちこちに飛ぶように語られてるけど、この構成のおかげでその人物を深く理解できた。2021/01/26
りえぞう
3
作者が使ったという「記憶のロジック」なるものは、もう一つ理解できないが、この幻想的な雰囲気は、どうもガルシア・マルケスというか、ラテンアメリカのマジックリアリズムに通じるものがあるような感じがして。ストーリーとしてはよくわからないけれども、嫌いではない世界。2021/11/10
chance
3
読んだことのないジャンル。時系列が飛びまくり、中国の人物名も覚えにくい為最初は辛かったけど、結果面白い。 暗くて文学的で、でも少し前の中国の田舎の生活を垣間見た気になれる。そこまでの悪人ではないのに嫌な人間になってしまう人たちの生き方も面白い。2021/05/26