内容説明
植物が育んだグローバル経済。イギリス帝国史研究の原点にして著者の遺作。
目次
第1章 植物帝国主義
第2章 重商主義帝国と植物園
第3章 カリブ海の植物園
第4章 ブルーマウンテンの椿―カリブ海の植物園・2
第5章 インドの植物園と大英帝国
第6章 植物学の同胞―インドの植物園と大英帝国・2
第7章 戦艦バウンティ号の積み荷
第8章 海峡の植物園―ペナンとシンガポール
著者等紹介
川島昭夫[カワシマアキオ]
1950年、福岡県に生まれ、2020年、滋賀県に没する。京都大学名誉教授。専攻は、西洋史。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。神戸市外国語大学、京都大学大学院人間・環境学研究科で教鞭を執る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵐窟庵
5
植物園の起源が、帝国主義時代の英国の植民地政策と切り離せないものであったばかりではなく、世界中の植物を巡る物々交換の拠点になっていたことが本書で書かれている。英国では元々植物があまり豊かではなかったことから、熱帯の植物への希求があったが、それは同時に植民地主義的な搾取も孕んでいた。ただ、一方的に熱帯から植物がもたらされただけではなく、ヨーロッパから各地にもたらされた植物もあった。その様子はさながら植物園とは植物貿易の港と言っても良いだろう。園芸狂いやその後の閉鎖など貴族文化も植物園の盛衰に大きく関係した。2020/09/02
kana0202
3
知らない人物が多すぎて、また、論文体でやや読みにくい気もするが、植民地の植物園について集中的に扱った本は日本では唯一な気がするので、一冊置いておくのは悪くない。ボタニカルアート展を最近見たが、いかに裏には欲望と権力関係があるかと言うのを知った。科学者やアマチュア愛好家たちがセットとなって行われていた帝国の植物園経営。2022/12/23
ckagami
2
一、二章を中心に拾い読み。雑誌掲載の文章を集めたもののため重複が結構ある。重商主義の大英帝国は、すなわち植物の移植を軸とした植物帝国だった、という面にうなずく。植民地経済でおおきな意味を持った、綿花、砂糖、香辛料、染料、コーヒーすべて植物で、新旧大陸、アジア~アフリカ~アメリカを行き来する。国家の政策というよりは、植物に巨大感情を持つ個人がヴォランタリーにアマチュアに植民地経済を切り拓いた、という点が、イギリスという国のひとびとの一面を表わしていて面白い。2021/01/30
takao
2
ふむ2020/11/01
dulce_zakka
0
そんな2021/10/06