決定版 ナチスのキッチン―「食べること」の環境史 (決定版)

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決定版 ナチスのキッチン―「食べること」の環境史 (決定版)

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  • サイズ B6判/ページ数 477p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784907986322
  • NDC分類 383.9
  • Cコード C0022

出版社内容情報

国民社会主義(ナチス)による支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか? この強烈なモティーフのもと、竃(かまど)からシステムキッチンへ、近代化の過程で変容する、家事労働、レシピ、エネルギーなどから、「台所」という空間のファシズムをつぶさに検証し、従来のナチス研究に新たな一歩を刻んだ画期的な成果。第1回(2013年度)河合隼雄学芸賞を受賞した、著者の代表作。

序章 台所の環境思想史



1、歴史の基層としての台所

2、テイラー・システムとナチズム

3、台所の変革者たち

4、 台所をどうとらえるか──定義とアングル





第1章 台所空間の「工場」化──建築課題としての台所



1、ドイツ台所小史──「煙と煤」から「ガスと電気」へ

2、ドイツ台所外史──「キッチンの集団化」という傍流

3、第一次世界大戦の衝撃──集団給食の登場

4、フランクフルト・キッチン──「赤いウィーン」から来た女性建築家

5、考えるキッチン──エルナ・マイヤーの挑戦

6、ナチス・キッチン?

7、労働者、約一名の「工場」





第2章 調理道具のテクノロジー化──市場としての台所



1、電化される家族愛──快適、清潔、衛生的

2、台所道具の進歩の背景

3、ニュアル化する台所仕事──人間から道具へ

4、市場化する家事──消費者センター「ハイバウディ」の歴史

5、報酬なきテイラー主義の果てに





第3章 家政学の挑戦



1、家政学とは何か

2、家政学の根本問題──『家政年報』創刊号

3、家政学の可能性と限界──『家政年報』1928?1932

4、家政学のナチ化──『家政年報』1933?1935

5、家政学の戦時体制化──『家政年報』1939?1944

6、家政学が台所に与えた影響





第4章 レシピの思想史



1、ドイツ・レシピ小史

2、読み継がれる料理本──食の嗜好の変化のなかで

3、企業のレシピ──ナチズムへの道

4、栄養素に還元される料理





第5章 台所のナチ化──テイラー主義の果てに



1、台所からみたナチズム

2、「第二の性」の戦場

3、「主婦のヒエラルキー」の形成──母親学校、更生施設、そして占領地へ

4、無駄なくせ闘争

5、残飯で豚を育てる──食糧生産援助事業

6、食の公共化の帰結





終章 来たるべき台所のために



1、労働空間、生態空間、信仰の場

2、台所の改革者たちとナチズム

3、ナチスのキッチンを超えて





 註

 参考文献



「食べること」の救出に向けて──あとがきにかえて

 針のむしろの記──新版のあとがきにかえて



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 付録1 ベストセラーの料理本

 付録2 ダヴィディス著『日常的かつ洗練された料理のための実用的料理本』の版別レシピ構成

 付録3 ハーン著『市民の台所のための実用的料理本』の版別レシピ構成



 人名索引 477

藤原 辰史[フジハラ タツシ]
1976年、北海道に生まれ、島根県で育つ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。博士(人間・環境学)。京都大学人文科学研究所准教授。専攻は、食の思想史、農業史。
著書に、『食べること考えること』(共和国、2014)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館、2012)、『カブラの冬』(人文書院、2011)、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、2005。新装版、2012。第一回日本ドイツ学会奨励賞)、『第一次世界大戦を考える』(編著、共和国、2016)、『第一次世界大戦』(全四巻、共編著、岩波書店、2014)、
『大東亜共栄圏の文化建設』(共著、人文書院、2007)、『食の共同体』(共著、ナカニシヤ出版、2008)など、共訳書に、フランク・ユーケッター『ドイツ環境史』(昭和堂、2014)、エルンスト・ブロッホ『ナチズム』(水声社、2008)がある。

内容説明

ドイツ近代の「台所」「竈」の歴史をたどりつつ、やがて訪れるナチスは、どのようにキッチンを、そして栄養やエネルギーまでもを改変し、ファシズムに取り込んだのか。当時のレシピやキッチンの設計図など、入手できる限りの史料をつぶさに踏査し、「1分チャージ」のキャッチフレーズで知られるように栄養をとりこめば事足れりとする機能性重視の現代の食生活こそ、まさにナチス時代のそれだった、という歴史を検証しています。

目次

序章 台所の環境思想史
第1章 台所空間の「工場」化―建築課題としての台所
第2章 調理道具のテクノロジー化―市場としての台所
第3章 家政学の挑戦
第4章 レシピの思想史
第5章 台所のナチ化―テイラー主義の果てに
終章 来たるべき台所のために

著者等紹介

藤原辰史[フジハラタツシ]
1976年、北海道に生まれ、島根県で育つ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。博士(人間・環境学)。京都大学人文科学研究所准教授。専攻は、食の思想史、農業史。著書に、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、2005。新装版、2012。第一回日本ドイツ学会奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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たまきら

37
表紙のデザインが見にくい!先日読んだ雑誌でこの人のコラムが大変興味深かったのでこの本を手に取りましたが、ナチスという狂信者の集まりが国民に、男に、女に求めた「完璧さ」のあやうさの記述に、現代と似たものを感じてぞっとした。なるほど、こういう考察をされていればオーガニック食品の推進に一言言いたくなるわけです。闘争の十か条、という主婦向けの要望には「無駄をなくせ」「国産のものを消費せよ」といった言葉が並ぶ。そういえばヒットラーは菜食主義者だったらしいのよね…。2023/04/15

おさむ

35
死ぬまで禁酒・禁煙で菜食を好んだヒトラー。第三帝国は「健康と清浄な身体に取り憑かれた政権」だったという。ナチズムは軍国主義とともに健康至上主義を導入したが、その最前線が台所、キッチンだったとする主張はたしかに一理ある。主婦たちも無意識のうちに戦争に動員されていたのだ。「ダイエット」という日本でも人気のこの言葉は、じつは痩身という狭義だけでなく、医師に指示された食生活という意味もあるのだという(ライザップか!)。現代日本でも食べるという文化行為が単なる栄養摂取に近づいているのでは?そう自問せざるを得ない。2020/12/05

さきん

24
ついに読めた。工業化、近代化にともなって火から電化が進み、人の流れも都市へ流れていく中で、キッチンも狭く、労働に最大の生産を注ぐために家事も合理化され、機能的なシステムキッチンが確立されていった。最初は女性解放を秘めるリベラルな女性活動家が中心に引っ張るも、ナチスに入ってからは、戦争に貢献しうるという点でキッチンの合理化が志向。一方でナチスとしては、健康な人材を輩出するためにも、昔ながらの非合理的な竈つきの農家のようなゆとりある家が必要という認識も大いにあった。2020/07/11

kuukazoo

14
ヴァイマル時代からナチス期のドイツにおける台所と食の近代化(動線を効率化し衛生的なシステムキッチンの原型、ガスや電気、家電や加工食品や化学調味料、レシピ本、栄養学の普及など)の歴史、さらにそれらを背景にナチスが戦争政策として国民の食にどう介入したかを詳察する。テクノロジーやテイラーシステムが組み込まれた台所は効率や利便性と引き換えにそこで働く人の身体を機械化し食の背後にある様々な問題を見えづらくするということか。時短や便利さを追求することの功罪にモヤる。台所は歴史的にも大変奥深い場であり、学びになった。2023/09/19

leo

9
すごいボリュームの一冊…ようやく読めた。結婚し、子供もできた今、おそらく自分が1番多い時間を過ごしているであろう台所について、こんなふうに学術的に考えたことがなかったので新鮮だった。素朴な疑問として、本書でも私は結構読むのに苦労したのだが、その昔ドイツで発行されていた家政学の論文が掲載されていた雑誌は一体誰向けのものだったのだろうか…当時のドイツの主婦はそんなにリテラシーが高かったの?本書に登場した主婦ヒエラルキーのトップはそれぐらい読み解ける人たちだったのか。2022/03/25

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