感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きつね
6
金東仁についての日本の作家との比較、併録の申京淑論が面白かった。非常に興味をそそられる内容で、後者はとくに時制のゆらぎと主人公の過去との向き合い方との関係を問う繊細な手つきの論考で読み応えががある。日本の私小説については、出版経緯(小さなハンドブックのようなものを求められた)もあり、いくつかの分厚い先行研究書を手際よくまとめたという感じで、韓国の読者にとって簡便なのだろう(蒲団論は役立ちそう)。批判すべき点は訳者あとがきにおおむね尽きている。日本人のメンタリティを決めつけて、日記文学の伝統と私小説を結びつ2015/05/29