内容説明
あの幻の名曲の「生みの親」がいま明かす、封印された物語。ザ・フォーク・クルセダーズ「イムジン河」はこうしてアジアの「イマジン」になった。
目次
「イムジン河」は国境を越え日本人の歌になった(加藤和彦)
「イムジン河」が聴こえる(きたやまおさむ)
少年Mのイムジン河
「イムジン河」がもっとよくわかる言葉のヒント
著者等紹介
松山猛[マツヤマタケシ]
1946年京都生まれ。京都にてグラフィックデザイナーを経た後、「帰ってきたヨッパライ」(ザ・フォーク・クルセダーズ)、「黒船」(サディスティック・ミカ・バンド)などの作詞を手がける。その後、編集者、執筆者として「平凡パンチ」、「ブルータス」、「ポパイ」などの雑誌で活躍、世界各国を精力的に取材する。現在、“地球と人をながもちさせるエコ・マガジン”「ソトコト」では「スローライフ」を提案する。時計、ファッション、グルメなど、あらゆるジャンルに精通し、豊富な知識と独自の審美眼で松山ワールドを展開している
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
56
京都での少年時代、サッカーの交流試合をしようと、著者は朝鮮中高級学校に行き、そこで聞こえてきた歌が「イムジン河」だったという。のちにフォークルの4人(当時は3人ではなかった)に紹介し、自由と平等を訴える歌詞を補作した。まさにベトナム戦争真っ最中、フォークの時代の1966年。有名な、レコード発売中止については語られず、加藤和彦・きたやまおさむ両氏それぞれの序文で示唆される。青年のひたすらな思いが、政治の事情に翻弄される例として、この場合もそうだったのか、との思いが残る。2021/01/07
アキ
10
映画『パッチギ!』の原案。少年Mが、朝鮮中学校に関係改善・相互理解のためのサッカー交流試合を申し込みに行ったことがすべての始まり。偶然、教室から聞こえてくる歌声に、「たましいの純情を射ぬかれて」しまった少年M。「純情」のままに日本語詩をつけたものの、実際の『イムジン河』歌詞は北のプロパガンダ歌曲だったことでこうむる悲哀。そのギャップは埋められないまま発禁、放送自粛曲に。人と人との間に横たわる様々なイムジン河。音楽プロデューサー会田氏の言葉「アジア版の『イマジン』なんですよ」。時は経ち、今だ夢の続きは…。2014/07/20
Juichi Oda
2
録画していたNHKの「アナザーストーリー『時代に翻弄された歌 イムジン河』」を観た。それで本棚から引っ張り出してきた次第。松山猛が「この歌を通じて、ぼくらに共通する願いである、人間の自由や平等を訴えようと」した歌は、北山修が言うように「素朴に朝鮮民謡だと」本気で思っていたことがまさに翻弄の渦に巻きこまれてしまったのだなぁ。加藤和彦が「『イムジン河』に命を与えたのは我々である」と断言し、松山自身が「あの純情で若かった時代の僕を、今誇りに思う」という。この歌ができた背景を作詞者自身がキチンと説明した本です。2020/05/04
yakisoba
2
井筒和幸監督の映画「パッチギ!」の原案となった、イムジン河の作詞(訳詞)者である松山猛の本。映画と違って暴力的なテイストは全く無く、非常にしっとりとした内容なのが特徴。戦後の在日朝鮮人と暮らした時の様子を子供時代の視点で描いているので、思想的な偏りを感じず淡々と当時の雰囲気が伝わってくる。近年のネット内での日本は若干右傾化傾向に感じられるが、こういった本も読んでおくと思考のバランスが保てる気がした。2011/09/20
べんちゃん
2
少年Mを語る加藤晴彦・・・まだ早すぎる別れでした2010/04/08