内容説明
シュンペーターの数少ないが特異な伝記。狭い意味でのシュンペーターの経済思想を扱うものではなく、波乱に満ちた人生と、様々な分野を統合して資本主義を徹底的に追求し理解しようとするシュンペーターの正にすさまじい生き方を描いている。シュンペーターが資本主義の本質を革新(イノベーション)としてとらえ、終生その研究に没頭し多くの大著を著したその過程と、その間に彼を支え続けた女性や同僚達について詳しく書かれている。シュンペーター自身だけでなく親しかった人達の日記や手紙、写真等を豊富に引用して、シュンペーターが生きた時代をリアリティをもって詳細に描き出している。たいへんな知日家だった最後の妻のエリザベスが、アメリカによる対日経済制裁は日本の戦線を拡大すること(真珠湾攻撃)を予告し、そのためFBIからスパイとしてつけねらわれたことも取り上げている。ヘイグリー経営史最優秀出版賞、ジョセフ・J・シュペングラー経済学史賞、国際シュンペーター学会賞を受賞した。
目次
第1部 恐るべき子供(一八八三‐一九二六):革新と経済学(故郷を離れる;性格の形成;経済学を学ぶ ほか)
第2部 成人期(一九二六‐一九三九):資本主義と社会(知性の新たな目標;政策と企業家精神;ボン大学とハーバード大学の往来 ほか)
第3部 賢人(一九三九‐一九五〇):革新、資本主義、歴史(景気循環、企業史;ヨーロッパからの手紙;ハーバード大学を去る? ほか)
著者等紹介
マクロウ,トーマス・K.[マクロウ,トーマスK.] [McCraw,Thomas K.]
ハーバード大学経営学大学院のストラウス記念・企業史名誉教授。ハーバードビジネススクールで、1984‐86年にかけて、研究部長を務めた。1985年にProphets of Regulation:Charles Francis Adams,Louis D.Brandeis,James M.Landis,Alfred E.Kahnでピュリツアー賞(歴史部門)を受賞した。『シュンペーター伝―革新による経済発展の預言者の生涯』ではヘイグリー経営史最優秀出版賞、ジョセフ・J・シュペングラー経済学史賞、国際シュンペーター学会賞を次々に獲得した
八木紀一郎[ヤギキイチロウ]
1947年福岡県生まれ。東京大学で社会学、名古屋大学大学院で経済学を学ぶ。岡山大学助教授、京都大学経済学部教授をへて、現職、摂南大学経済学部長。京都大学名誉教授、VCASIフェロウ。経済理論学会、経済学史学会、進化経済学会に所属
田村勝省[タムラカツヨシ]
1949年生まれ。東京外国語大学および東京都立大学卒業。旧東京銀行で調査部、ロンドン支店、ニューヨーク支店などを経て、関東学園大学教授、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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