出版社内容情報
1922年、二十代最後の年に、詩人は出版社マフ(モスクワ未来派協会)を組織する。集うアセーエフ、トレチャコフら喧嘩友だち。生まれたばかりの版元の〈詩人叢書〉第一弾として2000部が世に出た、306行の小型の長詩。日本翻訳家協会特別賞。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
51
前衛的革命詩人マヤコフスキーたまには詩もいい。2018/01/24
Y2K☮
41
発売が延期されまくって待たされた一冊。これまでの作品よりも秩序的というかすっきりした感じ。前衛&破壊的な色は薄いけど、思いがけず楽屋での素の表情が垣間見えた様でちょっと安心できた。当たり前だけどマヤコフスキーだって我々と同じ人間じゃないかと。後半に付された恋人や知人への手紙は、吹き荒ぶ熱情の渦巻き加減がドストエフスキーっぽくて笑ってしまった。「今すぐ返事を下さい、頼むから」とか「一分間に三千二百万回接吻する」など。狭い部屋の中で腕組みをし、まだかまだかと歩き回る姿が目に浮かぶ。これがロシアというものか? 2016/05/04
Y2K☮
34
再読。今月のポエム。愛情と憎悪。相反する様で根っこは同じ。重過ぎる前者はふとしたきっかけで後者に変換される。それこそアナキン・スカイウォーカーの様に。では誰も憎まない代わりに他者に無関心でいる方がベターなのかといったら、それも頷けない(私はそちらに近いのだけど)。群れる必要は無い。個の己でいたい。でもひとりでは色々と無理がある。何もかもを自分だけで立派にやろうとすると、それが挫折した時の反動で暗黒面に堕ちる。マヤコフスキーの悲劇は国家や人々への愛が強過ぎたことだ。過剰な何かに流されず、最適に乗りこなそう。2017/12/01
A.T
8
マヤコフスキー?…ああ、あの!! と、思わず手にとった本。これが寺山修司の戯曲に引用されてきた、あのマヤコフスキー…。30年来謎の存在だったマヤコフスキー…。貧しくて暗くて寒い部屋に1人ポツネンとしていながら世界中を相手にイキがってる。まるで寺山修司みたいなグルジア人の詩人。2016/11/14
保山ひャン
1
ほかのひとの心臓のありかなら知ってます。/そいつは胸にあるーー万人周知の事実です。/しかしぼくの体では/解剖学が発狂した。/どこをとっても心臓ばかり、/いたるところで気笛を鳴らす。 マヤコフスキー愛の詩と、マヤコフスキーの手紙を収録。自分のことを「シチョン」(子犬)と称しているのがお茶目。2017/02/16