内容説明
四半世紀にわたりヒップホップと向かい合ってきたビートメイカー「MA$A$HI」が送る、衝撃の日本=ラップ論!
目次
第1章 リアル
第2章 オーセンティシティ
第3章 フロウ
第4章 風景
第5章 ビート
第6章 日本語ラップ
著者等紹介
吉田雅史[ヨシダマサシ]
1975年生まれ。批評家、ビートメイカー、MC。ゲンロン佐々木敦、批評再生塾第1期総代。ヒップホップ・コレクティヴ「口頭遊民ダコタ」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
36
ゲンロン批評再生塾で初代総代になり、その時の提出文と後の連載が足掛け9年ようやく結実した。この間に表現や論理が誰にでも分かり易いようになった。敷居を低くして音楽の外の読者にも文化論として、ヒップホップ入門として読む選択を与えている。アンビバレントとはドキュメンタリー性を持ったリアルとフェイクの二重性、乗り越えた先に本当のリアルが見えるという弁証法のことだ。アメリカ文化を輸入しつつ独自の発展をみせ、日本的なリリックに結実させる二重性、近接性や類似性を論じる批評の手法は使いつつ、ラップは古典文学や歌謡の延長線2025/03/09
しゅん
14
アンビバレントというのは、ヒップホップがフェイクとリアルの間で揺れなきゃいけない、シュミラークルとオーセンシティの間で揺れなきゃいけない、日本語ラップが日本とアメリカの間で揺れなきゃいけないという曖昧さを指す。価値転倒こそが本質であるということは、本質的な価値が定まらないということでもある。6章の論点からヒップホップの曖昧さを明確にする本作は、日本のラップとアメリカのラップの話を一冊で描きながらどちらの歴史も示す。その点で入門書でもある。東京の風景の描き方がどう変化したかの話をとても面白く読んだ。2025/03/29
モリータ
4
◆2025年2月ゲンロン刊。『ゲンロンβ』第1号(2016年1月)~第40号(2019年8月)に連載された同タイトルの記事に大幅に加筆。著者は1975年生、批評家、ビートメイカー、MC。◆USと日本のシーンを往復しつつ「リアル」「オーセンシティ」「フロウ」「風景」「ビート」そして「日本語ラップ」のアンビバレントな側面について論じていく。◆良書。例によって音源を聴きながら(時間がかかった)。「フロウ」の章、日本語のリズムの特性から、ラップの進化と音のハメ方、音韻構造の改造まで分析されていたのが特によかった。2025/11/10
wasabi
2
凄い。今後ヒップホップやラップ、あるいは現代でポップミュージックを語る上では本書の参照が基準になるのではと思わせるぐらいの良書。とかくセールスや関係者同士の内輪ネタ、政治的な事情が前面で語られがちなこの音楽ジャンルにおいてここまで音楽の話に振り切って、しかも日本とアメリカのシーンを一冊の本で同じものさしで語るという離れ業。いや、本当凄いな。2025/04/29
あば
1
アメリカ発のヒップホップという文化を、日本語ラップとして輸入するときの葛藤すなわちアンビバレントな姿勢、あるいはヒップホップにおける「リアル」と、「ボースティング」=フィクション的な態度の間で揺れるものを、いかに乗り越えてきたか、はたまた価値転倒をおこしてきたか、いくつかのゲームチェンジャーや代表曲を用いながら補助線を引いた一冊 個人的にはMVあたりの話がいちばんのれたが、やや大きく出たなという感じも否めなくてぼんやり目を滑らした箇所あり2025/05/20
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