出版社内容情報
直木賞候補作ともなった「ブラックバス」も収録した、名人の筆がきらめく極上の短編集。
内容説明
雑誌で取り上げられた小料理屋“二ノ橋 柳亭”の場所は誰も知ることができない。なぜなら、食味評論家が書いた架空の店だからだ。ところが、「柳亭を探し当てた」という読者からの手紙が編集部に届き…。(表題作)代表作「ブラックバス」など全七篇を収録。繊細と洒脱が織りなす物語の妙に酔う、直木賞作家の粋が詰まった極上の短篇集。
著者等紹介
神吉拓郎[カンキタクロウ]
1928年東京生まれ。小説家、放送作家、俳人。’83年『私生活』で直木賞、’84年『たべもの芳名録』で第1回グルメ文学賞を受賞。’94年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
148
ネットやスマホの普及してない時代、忙しさやストレスを感じることなく穏やかで、時間がゆったり流れてるんだろうと思う。読んでて、ゆったりと時が流れて、どこか懐かしい感覚に陥るね。そんなゆったりした時の流れの中で、釣り(したことないけど)、デート、寄席に行く、酒を飲みながら想像話、身内ネタ、下ネタなどの話で盛り上がるなんてことしたいね。表題作も粋な感じで良かったけど、『昔噺 じゃがの』が落語の一席のようで良かった。どれもじわりじわりと余韻が残る味のある短編ばかりでした。2020/04/23
ぱせり
8
この作品集を通して、一つの星(もっと別の、もっとふさわしい言い方ができたらいいのだけれど)を見ているのだと気が付いた。その星が私も好きだ、そういう星があること、そういう星を見つめる人たちがいることを、いいなあと思った。見えなくてもいい。あるいは見えないからいい。ことに好きなのは『ブラックバス』『二ノ橋 柳亭』『目の体操』 2018/01/02
ふみえ
7
ブラックバスは食べられるんだと初めて知った。"洋食セーヌ軒"の方が好み。2017/09/03
エドバーグ
6
お洒落、粋とはこういうものだ という作者の心意気を強く感じました。ただ、ちょっと鼻につくところもあります。2023/04/19
広瀬研究会
6
神吉拓郎は放送業界の人だったから、その作品も洗練されてるというよりは垢抜けてるって言うか、世慣れてる感じがしてくる。『ブラックバス』『二ノ橋 柳亭』は評価が高いだけあって確かに良かったけど、『金色の泡』も遜色がない。『昔噺 じゃがの』は落語の文体がお見事。特に夢とうつつを流れるように行き交う場面転換はさすがです。『巫山の夢』は風俗通いをたしなむ仲良しトリオのお話。あけっぴろげ過ぎて何かもう笑っちゃうな。 2022/03/12