プライバシーの新理論―概念と法の再考

ソローヴ，ダニエル・Ｊ．【著】〈Ｓｏｌｏｖｅ，Ｄａｎｉｅｌ Ｊ．〉/大谷 卓史【訳】

みすず書房（2013/06発売）

• サイズ A5判／ページ数 303p／高さ 22cm
• 商品コード 9784622077657
• NDC分類 316.1
• Cコード C1036

出版社内容情報

高度情報社会を考える上での必読書（法学、社会学、思想…）。広範な調査に基づき多様な視点で分析。具体的叙述は知的刺激に富む。

プライバシー問題を考える上での本書の大きな意義は、情報技術の発達および社会・経済の変化による概念の広がりを、法学的・社会学的に扱える形で要約したところにある。それに加え、多様な現象を総合的に理解するため、最新のプライバシー問題を多様な視点から数多く盛り込んでいる。さらに思想的背景の議論が丁寧に書かれており、このテーマでの重要な質の高い基本書となっている。

１「プライバシー：未整理の概念」…グローバルな懸念／テクノロジーとプライバシー／概念／新理論
２「プライバシー理論とその欠陥」…概念化の方法／諸概念／概念化できるか
３「プライバシーの再構成」…方法／一般性／変異／焦点
４「プライバシーの価値」…美徳と悪徳／価値づけの理論／社会的価値／多元的価値
５「プライバシーの類型論」…情報収集／情報処理／情報拡散／侵害
６「プライバシー：新しい理解」…問題の内在的性質／文化的差異／多元的概念の利点／未来

内容説明

プライバシー問題を深く理解するための最新理論を集成。広範な研究に基づき多様な視点から議論を展開する。高い知的要求に応える、示唆に富む指摘。高度情報社会における制度を考える基本書。

目次

１　プライバシー：未整理の概念
２　プライバシー理論とその欠陥
３　プライバシーの再構築
４　プライバシーの価値
５　プライバシーの類型論
６　プライバシー：新しい理解

著者等紹介

ソローヴ，ダニエル・Ｊ．［ソローヴ，ダニエルＪ．］ ［Ｓｏｌｏｖｅ，Ｄａｎｉｅｌ　Ｊ．］
１９７２‐。法学者。プライバシー問題に関する国際的権威として著名。現在ジョージ・ワシントン大学ロースクール教授。また、国際的な法律コンサルタント企業／法律事務所ホーガン・ロヴェルズ（Ｈｏｇａｎ　Ｌｏｖｅｌｌｓ）のアドバイザー

大谷卓史［オオタニタクシ］
１９６７年生まれ。吉備国際大学社会科学部准教授。専門は情報倫理学、科学技術史。編集者、サイエンスライター、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て現職（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[Reina SAIJO]

米国の法学者によるプライバシー概念の現代史と、プライバシーへの危害行為の分類による記述的な説明の試み。最も、プライバシーだけでなく、どんな概念もわれわれの実践に見合うような形で必要十分条件を上げることは困難であり、ある程度、様々な違いに類似する特徴を含む束概念として使われているものだろう。だが、本書の個別の事件に対するきめ細かな洞察と分析が興味深く、非常に面白く読めた。法の次元とは別のところで、様々なケースに適用して問題点を明示化するのにも使えそうである。

2017/09/06

[笠井康平]

理論面はこの1冊が入門的。判例も豊富だし。地図を描くのだ、という主張の00年代臭さに懐かしさを感じる本

2016/05/07

[GASHOW]

ページ数に対しての情報密度が高い。プライバシー保護については、仕事で関連があるためメタ認識が高いほうですが、読み終えるのに2時間半もかかりました。解説が丁寧で読んでたります。仕事で利用しようと思って、覚えたい気持ちで読むと時間がよりかかるのかもしれません。

2014/02/24

[kusomatsu]

読みにくい。目が滑る。理論と言うからには、数理モデルで説明してほしかった。 既存のプライバシー理論は、理論が狭すぎ、広すぎ、曖昧すぎのため法的・政策的に使えないらしい。 以下メモ。pp32-個人情報のコントロール、個人的には納得だが前述の理由で駄目らしい。pp117-プライバシーの価値について、ここもっと深掘りして欲しい。5章、著者によるプライバシー問題の類型モデル。情報収集・処理・拡散については同意。侵襲、なるほどそれは想像してなかったが「自分の意に反して」何かがなされるという意味では同じか。

2022/12/23