内容説明
「文明の十字路」北西インドを中心に、世界史的視野から密教美術の誕生に迫る。「ガンダーラ仏」で知られる北西インドでは、東西文明のせめぎ合いの中で、密教の時代まで仏教が存続し、その影響は中国やチベットにまで及んだ。本書は、その密教美術の形成過程を総合的に分析した、わが国で初めての本格的研究書。図版多数。
目次
第1章 ガンダーラ的古代からインド的中世へ(ガンダーラ出土の大理石製菩薩頭部と、2世紀後半頃のローマ彫刻―タパ・ショトールの塑像との様式的関連も視野に入れて;タパ・ショトールにおける劇的場面の群像について―ギリシァ・ローマ的伝統との関連を中心として ほか)
第2章 北西インドの密教美術(北西インドにおける密教図像の展開―中国と西チベットへの流伝を視野に入れて;変化観音の作例について―多臂半跏思惟観音を中心として ほか)
第3章 密教美術伝播の諸相(スピティ・タボ寺の『大日経』系諸尊について―大日堂後室諸尊の再検討;西チベットにおける地中海世界起源の唐草文について―密教美術における「図像と様式」への一視点 ほか)
第4章 大乗仏教から密教へ(『荘厳菩提心経』の菩提心説―菩提心の「無相」から、十地の発心・功徳・陀羅尼への展開;ギルギット地域・タルパンの陀羅尼刻文と、観音「随心呪」について―観音信仰からターラー信仰へ ほか)
著者等紹介
安元剛[ヤスモトツヨシ]
1966年生まれ。密教美術研究家、株式会社起心書房代表取締役。著書、論文多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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