内容説明
妻子と別居し、電気、水道、便所すらない粗末な小屋に住み、箱車のなかで一日も休むことなく客を待ち続けた村上桂山。路傍に生き、路傍に逝ったあの日から40年。桂山とは何者だったのか、奇行ともいうべき乞食道を貫いたのはなぜか、その答えを求める旅。
目次
桂山句画集
第1章 少年時代(生地・佐賀村;父、母のこと;姉、兄のこと;少年勇次)
第2章 修行遍歴時代(下関・龍興寺;宇治・大本山萬福寺;萩・東光寺;鳥取・興禪寺;姫路・八丈岩山;朝鮮京城・覚心寺)
第3章 松山時代(松山へ、そして大戦その前後;小原六六庵と鴻池楽齋;城北・城東界隈の人たち;桂山と居酒屋;易者桂山;風狂の路上人生;桂山と俳句;備忘の記)
第4章 「糞の味」考
第5章 山頭火と桂山
著者等紹介
田中修司[タナカシュウジ]
昭和23(1948)年生まれ。愛媛県温泉郡重信町横河原(現東温市横河原)出身。昭和41(1966)年、松山工業高等学校建築科卒。昭和50(1975)年、田中修司建築事務所開設。昭和61(1986)年、八木亀太郎先生を偲ぶ会「三春会」発足。副会長を務める。昭和63(1988)年、えひめの民家調査研究会「茅舎」(犬伏武彦代表)発足・所属。本業である建築設計の傍ら郷土の先人の顕彰活動に参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うにこ。
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50年路上に座って手相を見続けた行乞の人、村上桂山を顕彰する本。彼のものした絵や漢詩等の語録やそれを手がけるに当たって影響を受けた人々との交友などから入って、その人生を追いつつ似ていると評される人との比較で締める構成。ただ、彼をこの本でしか知らない身だと、その人となりが捕らえづらいのが残念。実際彼と対面し、言葉を交わした記憶のある人が読んだら、もっと楽しめるのかな。そういう人向けなのかなとちょっと思った。でも多数掲載された作品から彼の人柄の一端には確かに触れられて、それはとても楽しかった。2018/02/01