内容説明
イエスは「人間」であった。人としての負い目を抱え、権力との葛藤や女性問題に苦悩したイエス。危機の時代に人間の尊厳とは何かを問いかけ、おりおりに変貌を遂げたイエス。その生と言葉が発する、たぐいまれな磁力は何に由来するものなのか。無惨な死という、最後の跳躍に向かうまでのイエスの歩みを、さまざまな角度から照らし出し、そこにひそむ深淵と栄光をリアルに描き出す。新約諸文書の厳密な解読と、新訳の経験とを踏まえた、そこに生きるイエス像。
目次
アリマタヤのヨセフの話(イエスの“負い目”―心理的スケッチ;イエスとパウロ―新約聖書における「危機」;イエスにおける人間の尊厳と深淵;イエスにおける結婚・離婚・姦淫)
マリアの回想(詩人イエス―その言語の特徴について;預言者としてのイエス;聖書学は“イエス批判”に向かうか―「宗教批判の諸相」に寄せて)
空の墓より
補論 宗教史学派のイエス像
著者等紹介
佐藤研[サトウミガク]
1948年生まれ。専攻、新約聖書学。現在、立教大学文学部キリスト教学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
2
史的イエス、人間イエスの実像に迫るという試みは、残された資料の圧倒的な乏しさから、どうしてもその人の主観が出てしまうという危うさを孕んでしまうという困難さを改めて痛感。本書で著者が展開している主張も、後の研究であっさり覆されてしまう可能性は充分にあるわけで、その辺りについて著者はどう考えているのだろう?とつい気になってしまう。また、一キリスト教教徒として、人間イエスの実像と、教会で教えられるイエスとのギャップをどう考え処理すればいいのか?というジレンマを覚える。信者の人は心して読まねばならないかも?2015/05/30
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