内容説明
道北・枝幸における鮭定置網漁の草分けとして、長らく漁業権を維持してきた網元の佐賀家。戦後の漁業法改正で漁業権喪失の危機を迎えた一家は、“まるは”大洋漁業への漁場貸しに再興の望みを懸けるが―。時代に翻弄される網元一家の人間模様を描く異色のドキュメントノベル。
目次
第1章 オホーツクの漁場オカィスマ(佐賀家、遠来の客を迎える―昭和二十二年十二月;フジ未亡人、漁業権返還交渉に臨む―昭和二十三年一月;白線帽に高下駄で城下を闊歩―昭和二十三年四月;生き返ったオカィスマ漁場―昭和二十三年七月;波乱が続いた佐賀家の歴史―昭和二十三年八月)
第2章 時代という名の荒波(学制改革の犠牲者、最後の旧制高校生―昭和二十三年秋から翌春;母と息子の対立―昭和二十四年七月; 新鋭の発動機船配属される―昭和二十四年八月;名ばかりの新制大学―昭和二十四年九月から十一月;佐賀家にもたらされた新漁業法成立の報―昭和二十四年十二月)
第3章 光と影(旧帝大への挑戦を決意―昭和二十五年一月から七月;佐賀家に起きた内紛―昭和二十五年八月;まるは支社長歓迎の宴―昭和二十五年九、十月;形式に過ぎなかった公聴会―昭和二十六年三月;憧れの教養学部へ―昭和二十六年四月から七月;大学生たちで賑わうオカィスマ―昭和二十六年八月)
第4章 網元・佐賀家の終焉(不漁に終わった最後の鮭定置網漁―昭和二十六年秋;半世紀に及ぶ漁業権を失う―昭和二十七年年明け;母の手紙に記された悲報―昭和二十七年一月下旬;町会議員団の陳情に同行―昭和二十七年三月;血にそまった宮城前広場―昭和二十七年五月)
著者等紹介
佐賀郁朗[サガイクロウ]
1931年(昭和6)北海道生まれ。旧制弘前高校を経て、1956年東京大学農学部卒業。翌年全国農業協同組合中央会に入り、教育部出版課長、教育部長を務め、86年農協電算機研究センター常務理事、90年(平成2)農林放送事業団常務理事を歴任。54年の日本農民文学会結成に参画し、「農民文学」作家たちを知る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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