感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
17
果たしてネオリベラリズム/新自由主義とはなんなのか。本書を読むと安倍政権が右翼的でありながら同時にネオリベであることの矛盾の原因が見えて来る。私は政治に関して知識が乏しく、それ以上に経済学や現代思想に関して不勉強なので分からないところも多々あったのだけれど、それでも読ませられてしまった。今最も刺激的な論考を書き得る人物として映ったのだ。もっと平易に具体例に即して語られた文章があっても良かったようにも思うのだけれど、著者のクレヴァーさには舌を巻くしかない。廣瀬純、なかなか侮れない人物だ。もっと著書を読もうか2018/03/28
瀬希瑞 世季子
3
産業資本から金融資本へのパラダイムに置いて、その剰余価値生産の主たる場はフロー面(G-W-G`)からストック面(G-G`)へと移行した。富者から貧者への再分配はもはや機能せず、そこに現れたのは貧者からひたすら富を収奪し、ストックを貯めていこうとする富者の姿だった。収奪の限りを尽くす金融資本において今日の富者は明日の貧者かも知れず、今日の貧者は明日にはすべてを奪われつくして死んでいるかもしれない。資本主義に対抗することは生きるか死ぬかの闘いになったのだ。2023/02/14
田中峰和
1
暴力階級から思いつくのは軍隊を表す暴力装置だが、それも効力を失いつつあると主張する著者。そんな状況下で求められるのが暴力階級。死を恐れず勇気をもって自由を生きる人々のことらしい。アベノミクスの目的はデフレ脱却ではなく、貧者の叛乱を抑え込むための言説戦略だと指摘する。量的緩和をデフレ対策に見せかけながら、実は貧者から富者への所得移転以外の何物でもないと。今自民党と二大政党の関係を築けるのは天皇以外にいないとする意見も面白い。デモに何10万人集まろうが無視する安倍。天皇と国民が暴力階級になるしかないのだ。2015/07/31
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