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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
13
著者は、2011年、NYのウォールストリート近郊の公園を占拠した「オキュパイ運動」に関わった文化人類学者。前半はその運動の実践報告である。なぜ格差是正・債務帳消しを求めた運動が成功したのかが考察される。読みどころは第Ⅲ章。「はたしてアメリカは民主主義国家なのか?」という問いかけから、米国における「民主主義」の発展と現状が論じられていく。1%の富裕層が政治を動かし、残りの99%の意見が反映されない政治が、民主主義といえるのか。そして、徹底した民主主義を、自らの信条である「アナーキズム」と繋げる刺激的な一冊。2015/07/21
takeapple
11
合意形成と水平思考、権力は徹底的に排除する、非暴力不服従。2011年のオキュパイウォールストリートの中心人物、デヴィッド・クレーバーの著書。運動論であるけれど、これから生きる上でどんな力を身につけ、どんな見方で物事を見たらいいのか、身近な社会、例えばサークルとか地域社会、職場、学級などがどうあるべきかの示唆に富む。党派に与せず、個人の意思によりものごとを根本的に考える人は、アナキストと言うのだろうと納得。ナオミ・クライン、スラヴォイ・ジジェク、トマ・ピケティ、ウォーラーステイン、非欧米のデモクラシーの伝統2017/04/17
roughfractus02
8
民主主義は今ここにある目的であると著者は、未来の目的になれば手段を目的にすり替える余地を生む危険に警鐘を鳴らす。新自由主義は資本主義を唯一の経済だと宣伝する政治であり、より良い経済に資本主義をどう使うかという問いを忘却させる。同様に民主主義も今から遠ざけられ、これを実現する「アセンブリー」(集まる)より「ラリー」(競争する)が優先される。が、この目的を個々の行為にセットすれば、「アセンブリー」的実験は一挙に展開するはずだ。この状況を災害時に見出した著者は、この一次的な繋がりの形成をオキュパイ運動に重ねる。2025/01/26
Daimon
1
われわれはなんとかしていくつかのいろいろなメガフォンをかき集め、[…]一つのマイクから三つの方向に音を出せるような装置に仕立てた。だがまったく使えなかった。結局、人間マイクロフォンに後退しなければならないことに気づいた[…]。このやり方はとてもシンプルである。誰かが大声で話し、10かそこらの単語でいったん止める。声が届いた範囲の人々全員で発言を復唱することで、その言葉は、他の人の倍になって伝わる。[…]繰り返さなければならないから、参加者は誰の発言であっても真剣に耳を傾けるようになる。(pp.72-73)2018/05/16
アシモ
0
とてもいいところまで行ったけど警察に粉砕された運動の記録。民主主義は難しいなと少しブルーになる。2020/12/31