内容説明
新潟県中越地震など、著名な地すべり災害事象を取りあげ、地すべり前後の複数時期に撮影された空中写真から判読図を作成し、これらを手掛かりとして、詳細に現地との対応関係を比較検証した画期的労作。今後の地すべり災害発生予測と防災対策には欠かせない一書である。
目次
第1章 地すべり地形とその構造(地すべり地形とは;地すべり構造 ほか)
第2章 地表面輪郭構造の判読(滑落崖を主テーマに;側方崖・側方構造)
第3章 移動体の輪郭構造と内部構造(地表面輪郭構造と内部構造;移動体末端部と河川との関係 ほか)
第4章 すべり面の推定と初期的変形地形(流れ盤地すべり;受け盤 ほか)
第5章 地震による地すべり(2004年新潟県中越地震の事例)(はじめに―新潟県中越地震の特徴;中越地震による斜面災害主要域の広域的地形と地質構造の特徴 ほか)
著者等紹介
大八木規夫[オオヤギノリオ]
1932年長崎市に生まれる。第二次大戦前は函館、戦中は釜山(韓国)、戦後は日出(大分県)などを経て広島市・つくば市に長期間在住。1958年に広島大学理学部地学科を卒業、大学院を修了して1964年に「愛媛県佐々連鉱山周辺の三波川結晶片岩帯の構造岩石学的研究」で博士号を取得。同年、科学技術庁に新設間もない国立防災科学技術センターに地表変動防災研究室研究員として入所。以来、地すべりの研究に従事した。1979年同研究室室長となり、空中写真判読に基づく縮尺1/50,000地すべり地形分布図の作成を計画、その第1集は地表変動防災研究室の研究員の協力により1982年に新庄・酒田(20万分の1)地域の21葉を出版。以後、同室研究室の研究員・主任研究員らにより出版が継続された。この間、1988年から第3研究部部長、防災総合研究部部長を務めるとともに、地すべり学会、応用地質学会、地形学連合などの委員として、また、国際地すべり研究会議の創始者の一人としてその推進に尽力した。1992年から深田地質研究所の理事に就任、同年の第29回IGCでは地すべりのセッション2つを立ち上げ推進した。同所では、関連企業の技術指導を行うとともに、第三紀から更新世のカルデラと地すべりとの関係に関心を持ち研究を進めてきた。2007年から同所客員研究員。2002年には「地すべり構造の研究」により地すべり学会論文賞を受賞。2003年勲四等瑞宝章を叙勲。論文、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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