内容説明
本書は、自然破壊の深刻さと、自然に関する訴訟の状況を受けて、「自然の生存権」より端的に「自然の権利」を、いっそう根本的に「自然哲学」によって根拠づける。それは、どのような権利か、どの程度までの侵害なら許されるのか、裁判はどのような審理となるのか。これらに関しても、自然哲学による「自然の権利」の基礎づけから、具体的内容が必然的に導かれるゆえ、明らかとなる。
目次
第1章 環境権と自然哲学―「自然の権利」の哲学的基礎づけ(環境倫理と環境保護条約;自然の生存権と存在論的自然観;「自然の権利」の法制上の性格―自然の内在的価値と自然の権利)
第2章 ドイツ自然哲学―シェリングの自然観をめぐって(有機体論的自然観と因果論的自然観;自然と精神の一致;自然の変容と生命共同体;一者としての自然と自然の循環構造;存在論的自然観の普遍性)
第3章 自然観と技術観(科学技術の思想的基盤―「人間の自然史」から「自然の人間史」へ;自然の人間史と技術観の変遷)
補論 ローカル通貨と自然哲学―自然環境保護の実践と基盤
著者等紹介
田村正勝[タムラマサカツ]
1945年松本市に生まれる。1968年早稲田大学第一政治経済学部卒業。1974年同大学院経済学研究科博士課程修了。現在、早稲田大学社会科学部教授。経済学博士。専攻、社会哲学、経済政策
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