内容説明
ファイトテルマータ(植物上に保持される小さな水たまり)とその生物群集を紹介した世界で初めての本。小さな空間、少ない餌、蓄積する有害物質、そうしたすみ場所で、多様な生物が共存できるのはなぜだろうか。竹に切り株、樹洞、葉腋、花、食虫植物のつぼなどの水たまりの生物群集の形成と存続にかかわるすみわけ、競争、捕食、助け合いなどについて、最新の研究成果を紹介している。生物多様性の維持における小さなすみ場所の役割を認識することは、応用的にも重要である。生物群集や自然保護に関心のある人に広く薦められる。
目次
隠れた水たまり―序にかえて
「隠れた水たまり」の登場
さまざまなファイトテルマータ
ファイトテルマータの住人
竹の切り株―すみ分けて共存
樹洞―繰り返し利用はなぜ可能か?
竹の中―隠れて生きられるか?
タロイモの葉腋―同居者は偶然で決まる?
ショウガの花―すみ場所が生物を変える
ウツボカズラ(捕食による共存;群集形成史)〔ほか〕