内容説明
チェーホフからもトルストイからも力量を認められていた女性作家アヴィーロワ。主婦業をしつつ作品を書き、チェーホフから助言をうけ交際をつづけた女性が晩年につづった回想は“作家との恋”として波紋を呼んだ。文学と恋と友情の間で微妙に揺れ動く二人の関係は、まるでチェーホフの描く人間喜劇のように人びとの人生を浮かび上がらせる―。
目次
作品集より(不慣れ;忘れられた手紙;権力)
『かもめ』の初演によせて
チェーホフからの手紙
私のなかのチェーホフ
著者等紹介
アヴィーロワ,リジヤ[アヴィーロワ,リジヤ][Авилова,Лидия Алексеевна]
1864‐1943。小説家。若くから文才を発揮し、新聞などに発表した短編はチェーホフやトルストイにも認められて好評を博した。チェーホフの死後に一部公刊された回想が“作家との恋”として波紋を呼び否定的な評価を受けたが、ロシア初のノーベル賞作家ブーニンからは最後まで信頼を寄せられた。晩年は孫の養育をしながら回想録の執筆に専念。チェーホフの“不肖の弟子”であった女性作家がつづる文学と恋と友情の合い間に流れた二人の関係は、チェーホフ的な人間喜劇を思わせる記録として読みつがれている
尾家順子[オオヤジュンコ]
司書。すりふか文庫主宰
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感想・レビュー
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かもめ通信
20
チェーホフからもトルストイからもその力量を認められていた作家の短編と回想録にチェーホフからの手紙も収録。これを読んだ後チェーホフの『かもめ』を読むと、あの人の苦悩、この人の葛藤、あの人の諦め、この人の希望にも…と、あちこちにリジヤの影が見える気が。解説によるとこの回想録の真偽をめぐっては、関係者や研究者の間でも意見が分かれているらしいが、少なくても私は、チェーホフの作品を十二分に理解し読み解くだけでなく、自分の中にとりこんで作品にまで昇華してしまうリジヤ・アヴィーロワの才能に圧倒された。2020/10/26
ろびん
4
かなり面白かった。短編も結構好きな感じなのですが、他にも翻訳ってあるのかな。2018/10/31