内容説明
時々刻々と相貌を変える生き物のような大通りで、妖艶な美女のあとを追いかけて闇に吸いこまれて消えた若い男(「ネフスキイ大通り」)、ある朝突然、鼻がなくなっていることに気づいて、往来を闊歩している自分の鼻をつかまえようと必死になる若手官僚(「鼻」)、爪に灯をともすようにして貯めたお金でやって新調した外套を奪いとられた万年清書係が亡霊となって現れるようになった街角(『外套』)―。霧に包まれた美しく魔界的な北の都市でくりひろげられるロシア・ファンタジーの傑作をゴーゴリ再評価で名高い批評家エイヘンバウムならではの魅惑の配列で味わい尽くす。
著者等紹介
ゴーゴリ,ニコライ・ワシーリエヴィチ[ゴーゴリ,ニコライワシーリエヴィチ][Гоголь,Н.В.]
1809‐1852。ウクライナの小さな村に生まれ、帝政ロシア時代の首都ペテルブルグに出て下級官吏となりながら作品を書く。ウクライナを舞台にした作品集『ディカーニカ近郷夜話』で文名を高め、その後『ネフスキイ大通り』や『鼻』『外套』などのペテルブルグを舞台にした小説で幻想と現実の入り混じった独特の世界を確立した。また戯曲でも『検察官』をはじめ多くの名作を残し、プーシキンとともに、その後のロシア文学に与えた影響ははかりしれず、現代にいたっても多くの作家がゴーゴリを意識した作品を生み出している。19世紀のリアリズム作家としての評価から20世紀初頭のフォルマリズムによる再評価と、常に読み直され、演じ直され続ける小説家・劇作家である。日本文学においても二葉亭四迷、芥川龍之介、宇野浩二、井伏鱒二から後藤明生へとゴーゴリの影響は脈々と流れている
船木裕[フナキヒロシ]
翻訳家。比較文学・比較文化
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