内容説明
白狐の神は、川でマスを捕まえたテンに「はこぶのをてつだうから、自分にも分けてほしい。」と頼むが断られてしまう。そこで、何日も何日も、およぶマスをめぐる激しい争いが巻き起こるが…。アイヌの先人からいい伝えられたアイヌの神々(カムイ)の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
76
「ケマコシネカムイ」って「足の軽い神様」という意味で、キタキツネをさすらしい。でもそんな神様も失敗をやらかす。ちょっとコミカルで、意地悪はしちゃいけないとの教訓も入ってる。手島さんも楽しんで描いているようだ。2021/12/19
yomineko@ヴィタリにゃん
72
姿形が神々しいほど美しい白い狐。白いテンとマスを取り合うが、お互いが引かず、とうとうマスが腐ってしまう。春になると、白い毛が文字通りキツネ色になる。神の国、北海道の春は本当に美しい。2025/01/07
がらくたどん
51
人臭い兎の神もいれば畏れ敬われるフクロウの神もいるカムイの世界。本書は多羅尾坂内並みに(我ながら古い!)多くの異名を持つキタキツネのカムイ。ケマコシネは俊足の象徴とのこと。野山を縦横に駆け巡り里の近くで危険も知らせる軽快で好奇心旺盛な神である。かつては純白であった狐とテンがしょうもない喧嘩が原因で赤茶けた色に染まってしまった物語。そのしょうもない現場をフクロウカムイのカムイチカプがシンと見下ろす。今回のサケヘは「サラニプニー、サラニプ」赤茶けた毛皮は白狐より野に馴染む。山を駆け里を覗きただ軽快に軽快に。2022/06/07
アナクマ
27
狐とテンが互いに獲物を譲らず。どうにも色が白いなぁと思ってたら…そういう訳で今に至ると。神様なのにその俗っぽさ、人間くささ。◉キタキツネの呼び名は複数あり、丘や尾根に住む・足の軽い・六つの喉をもつ・占いの時に物を落とす…神、だとか。慇懃に奉るでもなく、蔑むでもなく、アイヌの人たちの自然観が見えてくるよう。◉これに学んで、身の回りの生き物や現象に、自分なりにしっくりくるオリジナルの別名を与えてみたらどうだろう。自分にとっての自然環境の意味を再発見し、世界を再構成するような楽しみになるのではないかと予感する→2020/02/29
ume 改め saryo
24
TITLEは足の軽い神様、そんな意味になるそうですね。アイヌの人は身近な多くのものに、神の存在を感じていたのですね。そのシリーズはもっと神々しい?作品が多そうなイメージですが、今回は(^^)ですね!2014/03/15