内容説明
“感情”は、その形や意味を変えながら「文化的な記憶」として歴史の中に保存されてきた。感情史研究の第一人者である著者が、ヨーロッパの「名誉」と「共感」がたどった歴史的な変遷を中心に、その諸相を読み解く。歴史学に新たな視野を拓いた注目の講演録、待望の邦訳。
目次
序章 歴史の中の感情の秩序
1章 感情の消失
2章 感情のジェンダー化
3章 感情の発見
感情の消失と発見―結論と展望
解説 なぜ今、感情史なのか(伊東剛史)
著者等紹介
フレーフェルト,ウーテ[フレーフェルト,ウーテ] [Frevert,Ute]
専門は西洋近現代史、ジェンダー史、感情史。ビーレフェルト大学にて博士号取得後、ベルリン自由大学、コンスタンツ大学、ビーレフェルト大学、イェール大学で教鞭をとり、現在、ドイツのマックス・プランク人間発達研究所感情史研究センター長を務める。1998年、ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞を受賞
櫻井文子[サクライアヤコ]
専門は近代ドイツ史、近代科学史。ケンブリッジ大学Ph.D.現在、専修大学経営学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mamei
1
一見、私的なものとされてきた人間の「感情」が政治の場、芸術の場、軍隊など社会のいろいろな場で人々の行動指針としてどのように影響を与えたかが、歴史的に追われている。本書で感情は情動、情念、欲求、感傷など細かく分類されており、それによって感情の社会的影響の分析が深まっている。私は、感情のジェンダー化について述べた第二章と、感情移入と同情の違いを説いた第三章が特に面白いと感じた。男女の感性のステレオタイプ化は昔から言われているが、感情史の観点から述べたられているのは新しい。2019/10/07
takao
0
ふむ2025/06/09
トム
0
なかなか有用な本だった。特に「名誉」という「感情」の特異性に関する指摘は興味深い。19世紀以前の文学を読む際にもかなり役立つのではないか。2021/09/25
金こんにゃく
0
卒論について何かヒントが得られると思い読んだ。あえて言うなら「心理歴史学」のような一冊。神経科学から社会学まで、著者の博学っぷりが凄まじい。2019/02/22