内容説明
押し寄せる帝国主義、植民地主義の波、中国はいかにして近代化を受け入れ、国家と民族を救うことができるのか―。中華民国の外交官を務めた中国外交史研究のパイオニアが、緊迫する国際情勢のなかで、アヘン戦争から抗日戦争初期までの歴史を生き生きと描いた古典的歴史書。その深い優れた世界認識と斬新な歴史研究は、現在の中国を取り巻く情況と、中国近現代史の理解に大きな光をあてる。
目次
第1章 剿夷と撫夷(イギリス、中国に国交を求む;イギリス人、アヘン売買を行なう ほか)
第2章 洪秀全と曾国藩(旧社会、循環を歩む;洪秀全、新王朝を建てんとする ほか)
第3章 自強とその失敗(朝廷の内外、協力して自強を求む;一歩一歩、前進 ほか)
第4章 分割と民族の復興(李鴻章、狼を部屋に引き入れる;康有為、光緒帝を輔助して変法する ほか)
解題 中国近現代史理解のパラダイム転換のために(佐藤公彦)(蒋廷黻とその『中国近代史』;范文瀾の『中国近代史 上冊』 ほか)
著者等紹介
蒋廷黻[ショウテイフツ]
1895年生まれ。中華民国の歴史学者・外交官。1912年に17歳で渡米、パーク・アカデミー(ミズーリ州)、オーベリン・カレッジ(オハイオ州)を卒業。コロンビア大学大学院では歴史を学び、哲学博士の学位を取得。帰国後の1923年、天津の南開大学歴史学部教授、1929年に清華大学教授・歴史系主任に就任し、中国の外交史を中心とする近代史研究に従事。1932年には胡適らとともに雑誌『独立評論』の発行に携わる。1935年、蒋介石行政院長下の政務処長に就任、ソ連大使、国際連合の中華民国代表、駐米大使等を歴任し、1965年にニューヨークで死去
佐藤公彦[サトウキミヒコ]
1949年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。中国近代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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