内容説明
西行にとって歌とは何であったのか。伝統に背いて歌に挑んだ意味を探る。西行の歌からその日常の姿を読みといた新西行論。二千三百首に及ぶ歌の中から、日常的風貌を伝える歌を六十五首、見出し歌として選び、その一首一首についての私解を付した。
目次
苗代に堰き下されし天の川止むるも神の心なるべし
世の中を厭ふまでこそ難からめ仮の宿りを惜しむ君かな
伏見過ぎぬ岡屋になほ止まらじ日野までゆきて駒こころみん
播磨潟灘のみ沖に漕ぎ出でてあたり思はぬ月を眺めん
忌むといひて影に当たらぬ今宵しも割れて月見る名や立ちぬらん
なかなかに時々雲のかかるこそ月をもてなす飾りなりけれ
花見にと群れつつ人の来るのみぞあたら桜の咎にはありける
ほととぎす人に語らぬ折にしも初音聞くこそ甲斐なかりけれ
惜しむとて惜しまれぬべきこの世かは身を捨ててこそ身をも助けめ
さてもあらじ今見よ心思ひ取りてわが身は身かと我も浮かれむ〔ほか〕
著者等紹介
松村雄二[マツムラユウジ]
昭和18年東京生まれ。中世日本文学専攻。開成高校、東京大学文学部を経て、同大学院国語国文学博士課程を満期退学後、都立大泉高校、共立女子短期大学、国文学研究資料館に順次奉職。現在、人間文化研究機構国文学研究資料館名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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