内容説明
「重い障害のある子どもの親である」ということと向き合いわが身に引き受けていく過程と、その中でのヒリヒリと痛い葛藤や危ういクライシスを描き切った珠玉の一冊。
目次
十年の後―新版刊行によせて
ケアラー連盟(現・日本ケアラー連盟)設立一周年記念フォーラムにて
プロローグ てっちゃん家の話
週末の親子
いのち
「不思議の国」
なんか、ヘン…
善意は厄介なのだ
田舎の優等生
母子入園〔ほか〕
著者等紹介
児玉真美[コダママミ]
1956年生まれ。京都大学文学部卒業。カンザス大学教育学部にてマスター・オブ・アーツ取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Natsuko
18
重症心身障害者とかかわる日々、その方のお母さんが自分と同い年という衝撃から手に取った。作者児玉真美さんは執筆に加えケアラー協会でも活躍中。「ある日突然予備知識も準備もなく重い障害をもつ子供の親になってしまい」「周りの反応も変わっていき不思議の国に迷い込んだかのよう」と語る。社会でスキルを活かして活躍していたのに辞めざるを得なかった悔しさ、車椅子入店を断られた飲食店や管理が過ぎた病院の婦長との闘い。「善意は厄介」という言葉には、自分自身の自己満足を突き付けられたようで耳が痛かった。2020/07/13
マイケル
1
重症障害児の母親という想定外の事態で生活が大きく変わっていく様子が描かれています。しかし、こんな苦労があるのだから障害者は生まれるべきではないということにはならないと思います。たとえ言語によるコミュニケーションは取れなくても、本書では表情や仕草で思いを伝えるということが可能なことが書かれています。相模原の施設での障害者殺傷事件のようなことは二度とあってはならないことだと改めて思いました。なお、ケア(CARE)という言葉の説明部分はさすが英語教師。そして広島弁が懐かしい。2019/10/29
enoritake
1
名著と薦められて。ご自身の体験をまっすぐに、障害を受容して行く道程をまとめてくださっている。もうタイトルからして共感しまくってた。海さんが、うちの子が、障害を持つ人が、風景の中に自然に佇んでいる、そんなことが当たり前であってほしい。その道程は遠いだろうけれど、私もまだまだ人というものを信じたいとは思っているのだ。2014/05/06
tu-ta
1
「新版 海のいる風景――重症心身障害のある子どもの親であるということ」読了。いい本だと思います。少し泣きました。でも、違和感が残る部分も。できればメモ書きたいなぁ。 http://t.co/B8dJuECr2012/12/11
かわあしくん
1
体験した人にしか分からないような猛烈な介護と医療機関に対する闘いの記録には笑ってしまうくらいの激しさがありました。障害者を抱えた親が言いたいこと、思っていても封印している気持ちをフルパワーで全開にしてくれています。思わずブログを見てみましたが、さすがに高度な内容で理解できませんでした。それくらい頭の良い人が自分と似た立場におられることに不謹慎ながら励まされる思いがします。2013/01/06