内容説明
ふるさとは無二の宝。誇り高き日本列島先住民、古代蝦夷の若き末裔カナハウが、八〇〇年前の京から3.11の巨大地変に襲われた先祖の故地に帰ってきた。愛と死、死と生の迷路を、歴史的視野で骨太に描き切った著者渾身の長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
matsu0310
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☆☆☆☆真摯さに打たれます2015/06/27
awakening
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いわゆる震災文学なるものに数えられるのだろうが決して一過性のものではなく読み継がれるべき純文学の香りがした。史実やそれに基づいた見識の広さ、全国に散らばった蝦夷の歴史、平安時代の天皇の大地震への向き合い方など随所にはっとさせられる箇所があった。800年前の京の都にいた蝦夷の子孫が現代に現れるのだが彼の目は純粋でごく自然。夏至までという限られた時の中で確かめられはしたがどうすることもできなかった原発を私も純粋な目で考えたいと思った。ヒロインとの愛は切なすぎたが不思議と悲愴感はなくむしろ柔らかな光に包まれる。2013/04/08
pinefield
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とにかく主人公のカナハウがいい男。私の中では勝手に松山ケンイチがざんばら頭からイケメンショートに変わった場面まで妄想している。「人が真実から目をそむけたらどうなる?」とヒロインに語りかけた言葉がずしっと胸にしみた。確かに目をそむけたくなるような描写もいくつかあったが記しておかなければならない使命というものが小説家にもあるのだろうと考えた。震災、原発など重い主題を800年前の京から現れた蝦夷の末裔の男に語らせることで今を生きる東北の男たちの誇りと強さを奮い立たせ女の健気さと強さをいとおしむような後味の良い作2013/03/25
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