内容説明
家事手伝いにきた二歳年上の従姉・民子と親しくなる政夫。一方、年頃の二人の関係に気がかりな大人たち。封建的な周囲によって、政夫は寄宿舎へ、民子は嫁に出されてしまう。その後、政夫は民子の哀しい結末を知ることに…。素直な文章が心に響く、淡く切ない純愛物語。
著者等紹介
伊藤左千夫[イトウサチオ]
1864‐1913。千葉県出身。農家に生まれ、明治大学を病のため中退した後、東京で牛乳搾取業を営む。正岡子規に師事し、短歌雑誌「アララギ」の代表的歌人となる。『野菊の墓』を俳誌「ホトトギス」に発表したことで、夏目漱石に評価を受け、世間に認められる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月讀命
78
「古き良き時代の日本」の恋の物語であり、初々しく、悲しく、切ない作品である。「民さんは野菊のような人だ。」「僕は野菊が大好きだ。」 いとこ同士の政夫と民子に、やがて恋が芽ばえる。しかし、世間体を気にする大人たちによって、ふたりの恋は実現することはない。民子が亡くなるとき、左手に政夫から貰った手紙と写真を胸に抱いて・・・・・本当に初々しく、悲しく、切ない、いいお話でした。・・・・・このプラトニックさは、現代のすぐに発展してしまう男女関係からは想像できないでしょうね。・・・・この表紙の女性と野菊の関係は不明?2013/03/15
きぬとら
0
表紙で衝動買い。本作は確か松田聖子の映画でも見たけど原作読んだのは初めて。時代背景があるからなかなか話がすっきり入ってこないところもあったが、なんか切ない。
tantanpanda
0
親がこうやって自分が間違っていたと反省してくれればまだ救われるけど、現実にはそんなことなさそう2025/01/12
やこ
0
以前読んだことがあったが再読。死ぬ際まで政夫を想っていた民子と、結婚したがずっと民子を想い生きている政夫。死んだ人を想うことのやるせなさ、会えない人、もう進まない二人の思い出を大切に持ちながら生きていく辛さ。2020/07/29