内容説明
子ども虐待について考えてほしい。子どもたちとその家族の姿を知ってほしい。そして、ジソウ(児童相談所)とそこで働く人たちの思いや葛藤を伝えたい。児童福祉司の体験から綴られた50の物語(ショートストーリー)と、子ども虐待と児童相談所の解説で構成しました。ジソウで働く人たちの日常の姿を理解してもらえたらと思っています。
目次
1 ジソウはこわい?!(ジソウはコワイ?!;「非行少年」と呼ばれる子どもたち ほか)
2 鬼は誰?(アモ?;家庭訪問 ほか)
3 心に届く言葉は見つかるのか(心に届く言葉は見つかるのか;福祉フクシした… ほか)
4 子どものしあわせって(怒りのゆくえ;不登校相談 ほか)
5 行き場を探して(産後うつのおそろしさ;みんな勝手すぎます ほか)
まとめ 児童相談所はこれからどうなっていくのでしょうか?
著者等紹介
青山さくら[アオヤマサクラ]
児童相談所児童福祉司
川松亮[カワマツアキラ]
明星大学人文学部福祉実践学科常勤教授、社会福祉士。東京都に福祉職として就職し、知的障がい児施設、児童養護施設、児童自立支援施設で勤務の後、児童相談所に児童福祉司として勤務。その後、厚生労働省児童福祉専門官、子どもの虹情報研修センター研究部長を経て現職。全国児童相談研究会運営委員、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
115
お仕事エッセイだと言える。だがその職場は、「あの」児童相談所。児相を扱った他のどの本よりも胸に響いた。日々押し寄せる、切羽詰まった重たい出来事。毎晩ビールで流し込んでしまわないと眠れない気がするという。児童福祉司の思いや痛みを、率直で温かい、時には熱い筆致で綴っている。この本を読めば、児相の現状のみならず、いったいどんな虐待が起きているのかを知ることにもなる。素晴らしい本。2020/02/04
ゆう。
35
子どものために日々奮闘する児童相談所。虐待など痛ましい事件がマスコミでも大きく取り上げられる中、児童相談所の仕事の中身に注目が集まっている。矛盾や葛藤を抱えつつ、悩みつつ仕事をする児童福祉司の姿には、今日の子ども家庭福祉の課題もみえてきた。福祉の仕事は人間味あるものである。子どものための支援が行き届くよう、もっと政治が福祉に向き合ってほしいとも感じながら読んだ。良書だ。2020/02/17
にゃんた
21
日々この大変な事例に向きあい、寄り添い、少しでも子どもたちを救おうとする児相の仕事の大変さを改めて感じた。そして苦しむ子どもたちのこと。次々とでてくる相談事例を読みながら、実際には今ももっと多くの子どもたちがどこかで救いを求めているだろう事も。傷ついた子どもの心、疲弊していく児相の職員の心、親ってなんだろうという気持ち、いろんなことで読む方の心も苦しみつつ、でも読まなければならない、そう思い読み続けた。2020/03/05
G-dark
18
虐待事件のニュースが流れる度に「ジソウは何をやっていたんだ!」と批判されがちな児童相談所。この本は、児童相談所で働く児童福祉司の体験をまとめた本。子どもたちやその家族のプライバシーを守るため、人物名や家族背景などは事実とは異なるそうですが、児童相談所の仕事内容の具体的なイメージを知ることが出来ます。虐待、障がい、非行など、児童相談所に寄せられる相談内容は様々。そこには貧困の問題や、世代を超えた問題などを複合的に含んでいる場合もあります。他人事だと思わず、わたしもまずは自分に出来ることをしたいと思います。2020/06/26
ゆうき
16
とても興味深い本だった。子供たちの悲しい事件が起こる度に、どうして救えなかったんだろう?児童相談所はどうして、もっと深く関わらなかったんだろう?と思っていたのですが、この本で児童相談所について知り、人手不足の中職員の方も心身困憊になりながら子供達を救おうと必死に向き合っている姿を知れた。児童相談所の関わった子供達が幸せな人生を歩んでいることを心から願う。2023/01/19