内容説明
弱さ、もろさが生む光。佐川光晴の原点「二月」「八月」を収録。
著者等紹介
佐川光晴[サガワミツハル]
1965年、東京生まれ。茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。在学中は恵迪寮で暮らす。2000年「生活の設計」で新潮新人賞。02年『縮んだ愛』で野間文芸新人賞。11年『おれのおばさん』で坪田譲治文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rosetta
25
2012年刊、四話の短編集。06年と09年に『新潮』に発表された「二月」と「八月」は連作で、北大恵迪寮の委員長を務めた長谷川が、「二月」では与那国に砂糖黍刈りのアルバイトに、「八月」ではフィリピンのネグロス島に出かける。行き場のない焦燥感に駆られる若者の気持ちが、作者と同じ時期に似た環境にいたこともあってよく伝わってくる。そうか、恵迪寮の中はこんなになっていたんだ。演劇研の看板役者が退学して札幌の主な役者を集めて舞台を立ち上げるって誰かモデルがいるんだろうか?どうやら作者も自分も同年入学で一留同士らしい笑2024/10/09
アズキ母さん
2
作者の佐川光晴さんの本は今まで「俺のおばさん」シリーズしか読んでいなかったので、この短編集は新鮮でした。私は鬱になって17年になります。鬱を発症した原因のパワハラした人もいないし職場も変わっているけど、未だに症状が出ます。心身に過度(許容範囲を超える)のストレスがかかった場合や低気圧の襲来等の気圧や天候の急激な変化がきっかけとなって、めまいや吐き気、腹痛等。ひどくなると自己否定の世界に入ります。そんな私にとって「静かな夜」「崖の上」は描写がリアルできつかったです。「二月」「八月」は北大出身の作者の経験か 2017/03/31
プリシラ
2
一気読みでした。作者は自分の体験や身近な場所を題材に書く人なんですね。おれのおばさんのおばさんのご主人のモデル?が後半に出てきます。大学時代の体験が人生のベースになっていることが伝わってきます。2012/11/12
kyoko
1
4つのお話。後ろ2つは同じ主人公。それぞれの主人公たちが抱えるものが重た過ぎる。そんな状況に自分が置かれたら・・・なんて想像したら怖くなるくらいの過酷な状況。それでも彼らは少しの希望を見出し生きていくだろうラストにはホッとした。2012/09/29
まり
1
4編からなる短編集。後ろ2編は作者の自伝的な小品。前2編はとてもつらいことがあり精神的に追い込まれた人が、それでも生きていくお話。良かったです。2012/06/07
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