著者等紹介
管啓次郎[スガケイジロウ]
著書に『斜線の旅』(インスクリプト、2009年、第62回読売文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スミス市松
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地に生える蒲公英に手をかざす。夜会の焚火に心を炙られる。冷たい川に身を委ね流れるままに往く。草原を走る風の中に私を見つける。地火水風の流動が際立つ第二詩集。ここに書かれた詩を言葉として理解する直前に、何かがやってきて通り過ぎていく。私の内面の表皮はその不在にざわめき立つ。それは、いまここにあってどこか遠い場所を思うことと似ている。「世界を語らず、ただ世界の光と雨に打たれて生きている」――この内観さえ携えていけば言葉は必要ないのかもしれない。なぜなら、「本当のことなど何もない、すべては生きている」のだから。2016/06/08