目次
もったいぶるなよバナナぐらいで
物と名前を陸地に置いて
駅よ(そろそろどうなの霧の中から)
なくした夏のオモチャの香り
お持ち帰りの眠気です
本日のうすうす一つまみ
夜更かし猫のためのカデンツァ
早起き猫のためのスケルツォ
スリッパとサンダル
きみのベッドにある塩湖
違うというか夏のポオ氏よ
そのへんは胃に聞いてください
夢見
おぼつかな
著者等紹介
大橋弘[オオハシヒロシ]
1966年東京都生まれ。1999年詩集『かいまみ』刊行。2003年歌集『からまり』刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はち
4
葉ね文庫オススメの一冊。なんだろうな、普段読まないタイプの歌やから脳みそをフルに使った。基本的に口語だし、飄々とした文体なので辻井竜一さんの歌を思い出したが、思いの外読んでいて追い詰められるような、不安になる歌が多い。社会不適合っぽい?(そもそも歌人の大半は私を含めて不適合者だろうけど)あとがきもない、他の人による解題もない。本当に歌しかない。2015/10/13
Cell 44
1
「ひどいことを言うなあきみは昼躑躅夜躑躅まだ咲いてないのに」「枝分かれしてゆく不安そのすべてに軽い帽子を被せましょうよ」「歯ブラシを挿す場所ながらうずくまる小鳥のような陽に濡れていた」「ともすれば私にもある顔なんてキノコよりかはすべすべですな」「日本時間の今日未明から咲いている上下左右に不安の花が」面白い。「昼躑躅夜躑躅」と「ひどいこと言う」は意味的には繋がらないのだけれど、でもここでは繋がっている。そしてそれが奇妙に説得力がある。「のに」などの接続詞、肉声の感覚が微温的な歌の場を保っているのだと思う。2016/03/29