内容説明
多くの先住民「インディオ」にとって、国民国家とは欧米の価値観や文化を強制する想像上の共同体にすぎなかった。しかしいま、中米では新たな挑戦が始まっている。先住民は国民国家そのものを拒絶するのではなく、むしろみずからその内部へと進入し、その本質を多文化主義的で共生可能なものへと変容させ始めたのである。中米の先住民が歩んできた過酷な歴史をたどりながら、グローバリゼーションの時代を生きる彼/彼女らが私たちに問いかける新しい国家のかたちと、その変革の道について考える。
目次
問い直される国民国家―中米からラテンアメリカ、そして世界へ
1 上からの国民形成と先住民―19世紀後半から20世紀前半(国民化しない先住民;ヨーロッパ的国民国家をめざして;深まる民族対立、迷走する国民化政策;恒常化する国家暴力)
2 下からの反米ナショナリズムと先住民―20世紀前半から後半(「国民革命」神話のかげで;アメリカの侵略と反米主義;反米主義からナショナリズムへ;「国民革命」と抵抗する先住民;下からの運動の下で)
3 先住民がつくる国民―20世紀後半から現在(国民的主体としての先住民;押しつけられた「混血国民」意識;社会的弱者のための国民国家を求めて;サパティスタ運動の現場から;「敗者」は勝利をもたらすか?)
著者等紹介
小澤卓也[オザワタクヤ]
1966年東京生まれ。立命館大学大学院文学研究科西洋史学専修博士課程修了(文学博士)。専門はラテンアメリカ近現代史(とくに中央アメリカ近現代史)。現在、京都産業大学、神戸女学院大学、立命館大学、龍谷大学、各非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
taming_sfc
メルセ・ひすい