感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花林糖
18
ゴブリンの毒のある甘い果物と二人の姉妹の物語。ローレンス・ハウスマンの挿絵と共にアーサー・ラッカムとマーガレット・タラントの挿絵も掲載してあるので、其々の違いを比べられるのも良かった(ラッカムとタラントはカラー)。物語はキリスト教の思想が色濃く出ているので、巻末の井村君江さんに解説が有難い。2019/01/13
麗月
8
図書館本。美しい姉妹愛の話だけれど、ちょっとイケナイ雰囲気もある。(直接的な表現はあんまりないけれど)あちら側の食べ物には中毒性があるのかなぁ。食べたことはないけれど。2021/12/17
mayuri(Toli)
6
女流らしい清廉な詩文の中に、官能的な詩文や表現が散見し、その艶かしさは、清らかさを凌駕するときがあって、読みながら、話の展開はもちろん、詩文の表現に対してもドキドキしてしまう、なんてことが多々ありました。 詳しい話は井村君江さんの解説に詳しいのですが、しかしこの話は誘惑と救済をテーマにした、乙女である姉妹の美しい絆の物語であり、そこに男性忌避の思想が覗こうが、何とも言えない愛、百合の花のようなこの詩作を、美しい日本語訳で読めることが、なによりも素晴らしいことです。2015/07/07
保山ひャン
4
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの妹、クリスティナが書いた物語に、ローセンス・ハウスマンが挿絵をつけた。アーサー・ラッカム、マーガレット・タラントによる挿絵も収録。あとのふたりのゴブリンが人間っぽいのに対して、ローレンス・ハウスマンのゴブリンは、さながら山のクトゥルフとでも言えそうな感じ。「G」と略したくなるおぞましさ。ストーリーは、食べてはいけないものを食べてしまい禁断症状で衰える妹をしっかりものの姉が救うというもの。自らゴブリンの中に飛び込んで、悪い果実は食べずに、体についた果汁を妹に届ける。自制心!2017/01/26
湯椿
2
すべての表現比喩が美しくて胸がときめいた。(ローラはしっとりうなじを傾げた藺草に潜む白鳥のように沢に生えた百合のように)ローラがゴブリンの果物を貪る様子も、リジーが抵抗し唇を噛みしめる様子も恐ろしくて妖しくて美しくてドキドキする。ローレンスハウスマンもマーガレットタラント、アーサーラッカムもみんな個性的で見ていて楽しいゴブリンを描いている。ローレンスハウスマンのほおを寄せ合って眠る姉妹の挿絵が特にお気に入り。誘惑と救済と姉妹愛。2017/09/18