なんじゃもんじゃの木―現代花街小説集

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  • サイズ B6判/ページ数 257p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784903186603
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

どうしてぼくに。そう言いかけて道雄の言葉が止まってしまう。染香の瞳が、憂いばかりでないものを湛えて揺れていた。今にも零れ落ちそうなもの。両掌に受けて、飲み干してしまいたいと思わせる何かだった。道雄はモンブランをすばやく胸のポケットにしまい、染香へ腕を伸ばす。刹那としかいいようのない一瞬に、ふたりの唇が合わさった。
──『なんじゃもんじゃの木』より

内容説明

凛と華やぐ艶やかな微笑み。匂やかに薫る花街の記憶。長編三部作『向島』『墨堤』『言問』の領家高子が現代の花街をたずねてつづった、珠玉の現代花街小説集。

著者等紹介

領家高子[リョウケタカコ]
1956年、東京生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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