著者等紹介
川野芽生[カワノメグミ]
歌人、小説家。2018年、第29回歌壇賞受賞。第一歌集『Lilith』(書肆侃侃房、2020)にて第65回現代歌人協会賞受賞
中川多理[ナカガワタリ]
人形作家。埼玉県岩槻市生まれ。筑波大学芸術専門学群総合造形コース卒業。DOLL SPACE PYGMALIONにて吉田良氏に師事。札幌市にて人形教室を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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livre_film2020
37
どこか知らない世界に迷い込んだかのように(否、本当はそちらが知っている世界かもしれない)感じる歌集。添えられている人形の写真が残酷であるのに美しい。私は人形、殊更人間を模したものに興味がなく、リカちゃん人形を買い与えてもらったもののすぐに飽きて放り出した質だ。だから、正直なところ川野さんと違って人形には対して入れ込むことはできない。が、ここに掲載されている人形たちは素直に綺麗だと思う。理解できるようで理解できない歌を一つだけここに残しておく。「鳥の名で呼べば笑つて死のきはにそれはわたしを発つものの名、と」2024/03/02
双海(ふたみ)
11
『Lilith』 で第65回現代歌人協会賞を受賞の川野芽生が人形を詠む人形作家・中川多理との希代稀なコラボレーション。「死んだことがある。そのたびに取つて置くおのが屍を人形として」「天景をいかに告げまし帰り来し少女の手より十指生ひくる」「わたしのからだは何でできてる やはらかく沈むところと飛び立つところ」2024/03/07
ハルト
10
読了:◎ 美と美の共存。短歌と人形のコラボレーション。人形の退廃的な美に、短歌の人形の吐息を凝らせて作ったかのような美。どちらもが互いを共鳴し合いながら、美という実存へと近づいていこうとする。細く病んだような人形の骨からこぼれたような三十一音。永遠に少女の形を保つ人形たちは、短歌によって、その軛から自由になれる。人形を超越させるような短歌によって、人形は神聖な人型となる。歪だからこそこそ生まれる美に感じ入った。2024/05/06
mayuri(Toli)
5
歌人の川野芽生さんと、人形作家の中川多理さんが織りなす人形詩集。川野さんの歌と中川さんの人形は相性が良く、想像の翼は膨らむばかりである。小さな、薄い本だけれど、この本の中には人の手によって生み出された人形という生命が丁寧に仕舞われ眠っている。たまらなく愛おしい1冊。お2人が好きな私にとっては、夢のような、宝物のような、大切にしたい儚い1冊です。2024/05/21
氷沼
5
美しい装丁を纏った歌集。 小説ではなく歌集。 川野芽生さんの存在は少し前に知ったけど、その世界観に一気に引き込まれた。 今作は人形作家の中川多理さんとの共作。 数十ページしかないが、蠱惑的な人形達と、川野さんの幻想的な詩に、読んでる間は「あっち」の世界へ行ける。 引き込まれて三度連続で読んでしまった。2024/01/27
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- 和書
- プルキンエ不整脈