内容説明
主人公ユジンは、中学の講師をしている中年女性である。この物語は、ソウルにある「薬水飲み場」でのユジンの夢想や空想、さらには過去の回想など複雑なテーマの暗示から始まる。そこは非日常領域の象徴であり、同時に交霊の場でもある。そこで知り合った各階層の登場人物との交流を通して、ユジンは人間の知恵を超越する何かを感じながら、やがて東洋的な精神世界の存在を確信してゆく。人々が織り成す愛憎・生死、そして宗教観・歴史観等々が交響楽的響きをもって迫る文章は、韓国人の精神世界を如実に表現している。
著者等紹介
韓末淑[ハンマルスク]
1931年韓国ソウル生まれ。ソウル大学文理科大言語学科卒。ソウル大学音楽大学講師(文学、国語)(1957~74)を経て、現在、韓国女学士会会長・韓国国際PENCLUB副会長・韓国女性文人会会長。現代文学賞、韓国日報文学賞、宝冠文化勲章
中村欽哉[ナカムラキンヤ]
1942年生まれ。東京大学文学部卒業後、出版社に勤務、主に歴史編集に従事。1993年、出版社を依願退職。現在、韓国関係を中心とした執筆活動に専念
本橋良子[モトハシヨシコ]
1948年生まれ。ソウル大学語学研究所卒業。現在、「国際観光振興機構(独立行政法人)」Iサポートセンター臨時スタッフ
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