内容説明
幹線鉄道の西村京太郎、ローカル線の辻真先…ミステリ評論家にそう評される、本格ミステリ作家クラブ会長でもある筆者が、なんと、自身の作品の裏側をばらす?!多数のペンネームを操り、伝説のテレビ番組の演出や人気アニメの脚本、そして鉄道ミステリ小説を生み出してきた筆者。古今東西、懐かしの路線や列車から、暴走の果てに作り上げてしまった妄想路線まで、著者の軽妙な語り口とともにいざ、紙上の鉄道ミステリ旅行へ…。
目次
1番線ホーム 北海道方面
2番線ホーム 東日本方面
3番線ホーム 東海・西日本方面
4番線ホーム 四国・九州方面
5番線ホーム 歴史本線方面
6番線ホーム 妄想本線方面
著者等紹介
辻真先[ツジマサキ]
1932年名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒。日本アニメ界を黎明期から支えた人物の一人。NHKに入社し、『バス通り裏』や『お笑い三人組』などの演出を担当する一方で、『鉄腕アトム』などの脚本を執筆。『アリスの国の殺人』で第35回日本推理作家協会賞を受賞。2009年には牧薩次名義で発表した『完全恋愛』で第9回本格ミステリ大賞を受賞。現在、本格ミステリ作家クラブ会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うっちー
38
辻さんの鉄道ミステリーは読んだことがありません2021/04/17
おいしゃん
33
自作に出てくる鉄道を、北から南まで一挙紹介するこの作品。この方のミステリー作品は読んだことがないので、内輪の盛り上がりに感じてしまったのは致し方ないが、80年にわたる鉄道への愛はたっぷり伝わった。2018/12/13
へくとぱすかる
25
ポテトとスーパーのシリーズしか読んだことのない私ですが、この本は辻さんの鉄道ミステリを作者みずから、執筆の思い出とともに語るクロニクル。登場人物への思い入れがすごく感じられるのも、長年書き続けてきた作者として当然のことでしょう。特におもしろいのは、今は消えた鉄道・元々存在しない路線。「沖縄県営鉄道殺人事件」「急行エトロフ殺人事件」は読みましたが、もうあらすじも忘れてしまっています。今度見かけたら再読しなくては!2014/10/05
いづむ
14
50年にもわたって鉄道ミステリーを書いている著者にまずびっくり。本書は辻氏のブックガイドでもあり全国で日本人の足となり経済発展を支えてきたローカル線の歴史エピソード集でもあります。乗ってみたかったけれど今は廃止された線や特急はその旅情も含めて想像するほかなく、体験された世代が羨ましい。第5章の「歴史本線方面」では樺太や満州、そして沖縄(!)にかつてあった線の紹介があり、これらを扱った作品は是非読みたいと思いました。2023/04/03
てら
5
鉄道にもミステリにも素養がなく、辻真先の小説を一冊も読んだことのない私でも、存分に面白く読めました。40年に及ぶ作品歴(小説のみで!)をふりかえってここまで淡々と謙虚に、しかし抜群の宣伝のうまさで書きまくって200ページ以内に収まる手腕に驚愕。感動してしばしば目頭が熱くなりました。「かつて存在した路線を舞台にした作品」だけでもすごいのですが、「架空の(存在しなかった)路線」まで!「趣味を全部仕事にしちゃって困った」と苦笑する、その一文だけで凄みがあります。一般的な知名度とは無関係に、とんでもない巨匠です。2015/12/23