内容説明
昭和十年代、軍港として栄える横須賀市。海の見える『按針塚』が、近所のわんぱくたちのあそび場だ。めんこ、たこあげ、一銭飛行機、こままわし…、こんなにいそがしいと、勉強なんてするひまがない!夏休み、ついに少年たちは「人がのれる飛行機をつくる」という秘密の計画にとりかかった―。知恵を出しあい、協力し、夢中になって遊ぶ…、そんなわんぱくたちの姿をファンタジーの名手・佐藤さとるが、自身の少年時代をもとに描いた、自伝的作品。
著者等紹介
佐藤さとる[サトウサトル]
1928年、神奈川県生まれ。『だれも知らない小さな国』刊行以来、ファンタジー文学の第一人者として活躍。59年、『だれも知らない小さな国』(講談社)で毎日出版文化賞、66年、『おばあさんのひこうき』(小峰書店)で野間児童文芸賞、88年、一連の創作活動に対し巌谷小波文芸賞、2005年、第五四回神奈川文化賞、07年、『本朝奇談 天狗童子』(あかね書房)で赤い鳥文学賞を受賞
岡本順[オカモトジュン]
1962年、愛知県生まれ。2012年、『きつね、きつね、きつねがとおる』(伊勢遊文ポプラ社)で第十七回日本絵本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちはや@灯れ松明の火
18
メンツ、なわばり、がき大将。わんぱく坊主の天国には彼らだけのルールがある。ひとつの遊び場にふたつの地区の子ども、はりあってもいつの間にか仲良しに。めんこ、たこあげ、こままわし。人数は多いほうがおもしろい、たまにけんかも悪くない。斥候あそび、母艦水雷、一銭飛行機。やりたいことがたくさんで、勉強してるひまなんてない。図面引いて、材料集めて、組み立てて、人が乗れる飛行機をつくりたい。知恵と力をあわせて飛ばしたい、わんぱく時代が終わる前に。あの日、青空にうかんだ安針号は、少年たちの夢の中をずっと飛び続けている。 2017/06/24
ぱせり
11
遊び方は違うけれどそんな日々があったよなあ、と懐かしく思いだす。駆け回る子どもたちの姿を追いかけるのは楽しい。ずっと彼らの時間をこのまま閉じ込めておけたらいいのに。昭和十×年の子どもたちである。彼らの行く末が切ない。…本当は、何十年後かに、みんな元気に集まって、あの日のことをさかなに盃をくみかわすことができたらよかったのに。 2016/07/10
ヒラP@ehon.gohon
9
昭和10年代の子どもたちの姿が生き生きと描かれていて、話の面白さに引き込まれてしまいました。 作者の自伝的作品とのことですが、詳しく書かれた当時の遊びには、戦後生まれの私にも懐かしさと哀愁を感じさせられます。 今の子どもたちには異次元の世界かも知れません。 子どもたちが力を合わせ作ったのが、人の乗れるグライダー。 結束力と創造力には、今の子どもたちに伝えたい感動が有りました。 とはいえ、戦前の話の悲しさ、最後に戦争で亡くなった友と生き残った作者という図式には、経験させたくない現実感が有りました。2016/06/08
miko
7
絵本屋さんに薦められて。 横須賀の按針塚を舞台に、佐藤さとるさんの少年時代と思われる、自叙伝のような作品☆ めんこ、凧揚げ、独楽回しに飛行機と、わんぱくな子ども達がキラキラと…平成の子ども達にも経験させてあげたい! でも、戦死だけは絶対させたくない。2016/12/29
aizi
6
私の読書人生のきっかけとなった本。ここから「だれも知らない小さな国」につながって現在に至ります。2021/08/28
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