内容説明
100年来底本とされてきた土岐哀果編『悲しき玩具』(東雲堂)の問題点を批正し、啄木直筆のノート歌集「一握の砂以後(四十三年十一月末より)」を底本に啄木の意図通りに復元。啄木の『悲しき玩具』が本当の姿で読めるようになりました。本書はこれからの『悲しき玩具』鑑賞・研究の定本となるものです。
目次
悲しき玩具
付録 幻の歌集 仕事の後
著者等紹介
近藤典彦[コンドウノリヒコ]
1938年北海道旭川市生まれ。1964年東京大学文学部国史学科卒業。1966年同大学人文科学研究科中退。北星学園余市高校、成城学園中学校、同高等学校教諭を経て、1995~2004年群馬大学助教授・教授。2003~2007年国際啄木学会会長。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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彼岸花
17
「泣く」「涙」「あはれ」「かなし」などの言葉が圧倒的に多く、死に直面した感情を、そのままに綴っています。空を仰ぐ余裕さえなかったこの年月に、生活苦や古里への想いが、読み手にじんと伝わってきます。大逆事件が、啄木に社会思想の影響を与え、歌にも直接表れています。この格差社会は、現世も変わらぬ状況に置かれていると思います。編集者によって、作品の捉え方が異なるのは理解できますが、意図的に、原稿に手を加える行為はいかがなものでしょうか?啄木の本来の歌の良さが、正式に伝わらず、ふびんな奴だとわれに言わしめる、心強く。2019/04/30
めぐみ
0
生活の発見。わかる。2020/05/07