内容説明
「国産み」神話の殻を破り新しい小説が誕生した。中原中也賞受賞の新鋭が描くもうひとつの「創世譚」書き下ろし小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
67
題名の「オノゴロ島とは、日本神話や記紀に登場する島。特にイザナギノミコト・イザナミノミコトによる国生み神話で知られ、神々がつくり出した最初の島となっている」(「Wikipedia」より)という。古事記などの古典を土台にした詩文。森羅万象に命それとも魂か神の宿りを感じる詩人ならではの創作か。何処かへ向かって物語が展開するのではなく、とりとめのない話の連鎖。読了してみて感じたのは、やはり特異な詩人の幻想譚という印象だった。詩の世界に入り込めないと、退屈になるかも。自分が詩人でないことを痛感させられた。2021/06/29
まさ
26
イザナミとイザナギが造り上げた島。この2人を始めとして島の出来事を時間を巡らせながら描かれていく。伝説を記しているのだけれども、詩と捉えた方がよいのかも。わかりにくいが、感じ入るものがある。それは、風土を連綿と描く日和さんの力であり言葉の魅力なのだろう。2020/08/17
Aya
20
古事記アレンジ⁈イザナギ、イザナミの国産みのお話。次々産まれる神々も何処か可笑しく、アニメチック。不思議な古文調のテンポで進む摩訶不思議な世界観。鳩とたまご…う〜ん一回読んだだけじゃわからないモヤモヤ。古事記読んで出直そうかな。2015/11/19
pirokichi
13
建国記念の日に読んだのは「みとのまぐわい」から始まる不思議で懐かしいお話。おのごろ島の時は移ろっているのかとどまっているのか、読みながら漂っているような心地よい感覚に陥る。眠りも夜もあるが、なぜかずっとやわらかな日が射しているような明るさを感じた。詩人である作者の文章は魅力的。いざなぎ・いざなみはもちろん貴鳩の北条さん、男・蔕部、わに屋の鮫屋、昔蜻蛉、三葉虫、岩の爺等とても親しみがわいた。「筍、椎茸、若布、瓜、桃、海苔、菖蒲、蟹、草、酒、菓子、壺、糊、匙、筆、洗濯粉…」市棚の品々を想像するのも楽しかった。2021/02/11
マサキチ黒
10
不思議だ。理解できているようには思えないのにサクサク進む。量的には少ないのでほとんど一気に読み切れるのだが、根本的な所で難解。面白くないのか?と問われれば、面白いと思うが。。。何年か後に再読するべきか。2021/01/06