出版社内容情報
本当に過ぎ逝くままにしていいのでしょうか。
綺羅星のごとき作家・学者たちとの交流、驚くべき編集の極意、――戦後史を刻印する数多くの名著を手がけた「生涯現役編集者」が、現代の荒涼たる出版の世界を撃つ。貴重図版230点収録。
聞き書きのはじめに・・・鷲尾賢也
1 未来社入社まで
2 西谷能雄社長の「頑迷固陋」
3 花田清輝、品行方正の破れかぶれ
4 平野謙の芸術と実生活
5 難解王、埴谷雄高のボレロ的饒舌
6 敗戦前後―わたしの戦争体験
7 丸山眞男の超人的好奇心
8 権威嫌いの藤田省三の仕事
9 全身小説家、井上光晴の文学魂
10 上野英信、記録文学の精神
11 木下順二と山本安英の奇跡的な出会い
12 秋元松代の反響とわが演劇運動
13 竹林の隠者、富士正晴
14 野間宏の独特な精神の迂回路
15 人類生活者・溝上泰子の闘い
16 女性の人権と自立のために―もろさわようこ・山代巴・丸岡秀子
17 北朝鮮とのかかわりと金泰生
18 西郷信綱、廣末保、安東次男と民衆文化
19 宮本常一、そして出版の仲間たち
20 『秋田雨雀日記』と忘れえぬ演劇人たち
21 上原専祿の言葉と出版への思い
聞き書きをおえて・・・上野明雄
後記・・・松本昌次
◇鷲尾賢也「聞き書きのはじめに」より
・・・いままでの仕事を振り返るだけではなく、現在の出版界をどのように見るのか、
あるいは編集の仕事とは何か、まで語っていただいたのが本書である。
・・・本書によって、戦後という空間を動かしていた空気がわずかながらも見えてきた
ような気がする。なぜ多くの出版物に活気があったのか。生活が貧しくても、なぜいき
いきとした編集・出版が可能だったのか。
数字に追いまくられている現在の出版状況、志を喪失しつつある編集者たち。このま
までいいはずがない。・・・編集者だけでなく、取次、書店などの出版関係者に、ぜひ
本書を手にとってもらい、出版再生のきっかけにしてほしい。・・・
◇上野明雄「聞き書きをおえて」より
松本昌次さんのお名前を最初に知ったのは、大学三年生のときだから、いまから四十
五年も昔のことだ。・・・著者を愛し、愛する著者とだけ仕事をしてきた松本さんは、
贅沢な編集者だったのかもしれない。しかもその惚れ込み方は尋常ではないのだ。それ
が編集者の原点なのだということを、改めて教えられた時間でもあった。
・・・出版が長期低迷状況からの抜け道を模索している現在、出版という営為が何を目
差し何を構築していかなければならないかを、根底からとらえなおす鋭い提言が、松本
さんの体験から改めて照射されたように思われる。・・・
内容説明
綺羅星のごとき作家・学者たちとの交流、驚くべき編集の極意、―戦後史を刻印する数多くの名著を手がけた「生涯現役編集者」が、現代の荒涼たる出版の世界を撃つ。貴重図版230点収録。
目次
未来社入社まで
西谷能雄社長の「頑迷固陋」
花田清輝、品行方正の破れかぶれ
平野謙の芸術と実生活
難解王、埴谷雄高のボレロ的饒舌
敗戦前後―わたしの戦争体験
丸山眞男の超人的好奇心
権威嫌いの藤田省三の仕事
全身小説家、井上光晴の文学魂
上野英信、記録文学の精神
木下順二と山本安英の奇跡的な出会い
秋元松代の反響とわが演劇運動
竹林の隠者、富士正晴
野間宏の独特な精神の「迂廻路」
人類生活者・溝上泰子の闘い
女性の人権と自立のために―もろさわようこ・山代巴・丸岡秀子
北朝鮮とのかかわりと金泰生
西郷信綱、廣末保、安東次男と民衆文化
宮本常一、そして出版の仲間たち
『秋田雨雀日記』と忘れえぬ演劇人たち
上原専祿の言葉と出版への思い
著者等紹介
松本昌次[マツモトマサツグ]
1927年、東京に生まれる。1953年、未来社に入社。以後三十年間編集者として勤め、83年退社、影書房を創設し現在に至る。関わった著者に、花田清輝、埴谷雄高、丸山眞男、平野謙、野間宏、杉浦明平、木下順二、山本安英、富士正晴、島尾敏雄、吉本隆明、井上光晴、橋川文三、上野英信、溝上泰子、藤田省三、廣末保、安東次男、上原専祿など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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