内容説明
ガラスは人類が初めて創りだした素材です。この最古の素材は、天然素材では得られない透明で美しい輝きを放ち、化学的に安定であるため、工芸品や生活必需品に必要不可欠な素材として身近で広く使われ、人類の文明に恩恵を与えてきました。本書はガラス製造の歴史を、時代とともにその技術の発展に貢献した先駆者たちの足跡に触れ、さらに近代科学における諸発見の影響を受けてどのように進歩発展してきたかなど、広範囲にわたって記してあります。
目次
第1章 古代から近世
第2章 19世紀および20世紀初期
第3章 ガラス組成
第4章 窯炉と耐火物
第5章 光学ガラス
第6章 板ガラス
第7章 容器ガラス
第8章 20世紀のガラス工業の発展と将来
著者等紹介
黒川高明[クロカワタカアキ]
1930年東京生まれ。1954年東京大学工学部機械工学科卒業。東京芝浦電気株式会社入社。以後ガラス製造機械・製造技術の開発、製造を担当。1978年東芝硝子(株)・発足、取締役業務部長に就任。1983年常務取締役技師長に就任。1990年代表取締役社長に就任。1995年フランス、バラン県、インビレラー名誉市民。1995年社長退任、相談役に就任。1998年相談役退任。現在日本ガラス工芸学会理事
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感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
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普段手にしてるガラスが、昔には砂とか植物灰(あと貝殻)みたいなすごく身近にあるような素材で十分に作られていたということに驚き。そもそも何でできているとか考えもしていなかった。ガラスの技術について、素材の組成やそれを溶かす溶炉、用途の変遷などをたどって多角的に現代にいたる過程を示してくれる。半面、現代で主流ではない歴史の中で消えて行ったりマイナーであり続けたようなガラス技術についてはあまり触れられていないせいもあってガラスの西洋技術史といった趣。資料の豊富さなどを鑑みればどうしてもそうなってしまうのだろうか2017/02/20
Minoru Takeuchi
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石器時代は自然の黒曜石を割って鋭利なへき界面を利用して狩猟道具に使ったのが人類ガラス利用の始まり。初めてガラスを作ったのが、紀元前3-5千年前、シリア、エジプト、メソポタミアの装飾品から、、、古代から近代までのガラス作りについて広く記載されています。 深く細かく読むと分からないことばかりで進みませんので、今回はざっと全文最後まで流し読みしました。ソーダ、カリ、ライムのそれぞれ特性違いと金属不純物濃度と分量バラツキで、、近年まで安定したガラスが得られなかったこ。二十世紀初頭ドイツがガラス産業ブッチギリの2014/07/19
Itaru Sato
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ゼミ用。2013/01/10
Book shelf
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東芝硝子㈱代表取締役社長だった方です。現役時の経験をいかし、培ってこられた知識や情報網をぎゅっと1冊にまとめた内容となっています。時代的には古代から~現代まで、しかしガラスだけにとどまらず、ガラスを構成するソーダやカルシウムといった素材や、窯、燃料、そしてガラス繊維や光ファイバーといった、ガラスに関わる多くのものを対象としていて、私も常々心がけている広い視野での研究にはもってこいです。2011/05/01