内容説明
料理は、遠い記憶と結びついており、味わい深い料理には謎めいた言説がある。遠い記憶と深い味わいと現実の乖離から生まれてくる幻想に満ちた物語は、私たちを不思議な妖しい世界へと誘ってくれるが、ほんの少し毒が含まれている。それは思いもよらぬ人間の情念である。この小説を読む前と読んだあとでは、グルメへの思いも変るにちがいない。現在と過去をつなぐ「食」の記憶の物語。
著者等紹介
篠藤ゆり[シノトウユリ]
国際基督教大学卒業後、コピーライターとして広告代理店に勤務。退社後、世界各地を旅する生活を経て、1991年、『ガンジーの空』で海燕新人文学賞受賞。以後、おもに旅と食のエッセイを雑誌等で執筆。また戯曲「どん底・桜貝篇」(新宿梁山泊版、梶原涼との共著)に挑戦するなど活動領域を広げている
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