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内容説明
長らく封印されてきた著者三十二歳時の長篇評論350枚、関連作を併せて初の単行本化!『マルクスその可能性の中心』と並行して執筆され、『日本近代文学の起源』に先駆する最重要論考。柳田国男の「方法」。
目次
柳田国男論(一九八六年)
柳田国男試論(一九七四年)
柳田国男の神(一九七四年)
著者等紹介
柄谷行人[カラタニコウジン]
1941年8月生まれ。思想家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
11
柳田国男の思想内容より、それを導きだした方法論かつ、それを強いた態度ないし実存にスポットを当てた論功。読み物としては面白い。柳田国男について知るというより著者の思考の軌跡を楽しむ本と思う。若い頃に書いたのを長らく発表していなかったが、それを大分のちにだした本なので、著者の本はもっと薦めたいものがあるが、やっぱり思弁能力はあるなと感心。2018/05/11
OjohmbonX
5
柳田の結論自体より、どんな態度がその結論を導いたかが問題だという。郷土史家の資料だけ見て解釈は無視するとか、文字よりも音や口承を見るといった柳田のやり方は、文字化/解釈されたものからはどうしても失われるものがある、という認識からくる。取り出せば「観念」にならざるを得ない「信仰」のようなものがあって、それが人間を規定してくるという認識。そこを避けずに見ていく態度。でもこれは、柳田本人の意識がどうとかじゃなくて、柄谷行人が柳田に何を見たのかという話で実際、後の『探求II』で展開される「単独性」そのものなんだ。2014/01/17
らむだ
2
1974年と1986年に書かれた柳田国男論をまとめ、書き下ろしの序文を加えて出版された一冊。時代を感じる部分がないと言えば嘘になるが、それでもなお時代を超えて輝く魅力的な文章である。2023/08/13
fseigojp
1
何とも、取りつく島がないというか。。。小林秀雄の本居宣長を読んでいたのでついていけたが。。。著者青年期の文体確立のためのノートのように見える つまり大和言葉で考えるという2014/09/19
ノボ
1
「柳田の倫理学は、人間と人間の関係にではなく、人間と自然あるいは自然と自然との関係にすえられている。そのなかで、精神は何をなしうるか。柳田が突きつめて考えていたのはそういう問題だ。そこに、あの方法的意志があらわれる。方法的であることによってしか、精神は存立することができない。精神が負わされた宿命を、柳田国男ほどに考え且つ実行した人を私はしらないのである。」(帯)2014/01/22